こんな風に愛ちゃんのお母さんは、天界に旅立った。決して地獄ではなく、天国に続く世界へ。
それも、おかしな言い方かもしれないけれど、何かほっとしたような感じで旅立っていたような気がする。そうだよね、ずっと抱きしめたかった愛ちゃんを抱きしめて、お母さんにだけ氷の様な愛ちゃんの心を、溶かしていったんだから。けど、もっと体を大切にして欲しかった、酷くなる前に病院で検査をして欲しかった。
僕は、時々ここへ愛ちゃんを連れてきて、お母さんってこんな人なんだよって、見せてあげようと思っていたから、なのに一回目が最初で最後って言うのが、少し淋しかった。おばあさんが心配だから、地上にいる間は時々見に来ようって、心の中で独り言をつぶやいていたら、アッちゃんが
『そうだね、愛ちゃんの心にとっては、そういうのいいかも』って、テレパシーを送ってきたので
『うん。ねぇ、本当に愛ちゃんのお母さん安らかな顔だったね。病気で苦しいはずなのに、なんだか、夢を見て眠っているような顔に見えたね』って、僕がいうと、アッちゃんは
『ねぇ、覚えている、僕らの亡くなったときも、お母さんたちが僕らの顔を見て、まるで眠っているみたい、ご飯よって声を掛けたら、うーって背伸びして起きてきそうって話していたの』って
『うん、覚えている。そう言いながら、みんな泣いていたんだ、お父さんは、やっと楽になれたんだから、なぁ、元って言っていた。昨日のことみたいだけれど、もう、僕らが亡くなってから一年以上過ぎたんだね。早いね、きっとお母さんたちもそう思っているよ』って、僕、そして
『上手くいえないけれど、人って何かのきっかけで変わるんだって、つくづく思った。結局、愛ちゃんのお母さんは、何が原因だったんだ?家庭環境かな』
『でも、完璧な家庭環境ってどんなの?なんか、そういうのも変だよ』って、アッちゃん
『なんか、おかしいよ、そこの二人さっきから』って、空君が
『あーぁ、そうかな』って僕と、アッちゃん
『すぐ、そうやって二人でテレパシーで話をする』って、空君
『うん、なんて言うか、きっと世の中には悪い人って、本当はいないのかもしれないって、なにかの、そうそうボタンの掛け違いていうので狂っちゃう人がでてくるのなかななんて、話していたんだよ』って、アッちゃん
『そういうの、愛ちゃん、少しわかったような気がした。愛ちゃんのお母さん、天界のママみたいにあたたかだったよ』って、愛ちゃんが少し照れくさそうに。
『愛ちゃん、なんだか少し大人になったね』って、僕が言うと
『うん、ありがとう』って言いながら愛ちゃんは、ほっぺを赤くした。そして、空君に
『空君、ありがとう。愛ちゃん、ずっと目の前が曇っていたんだ、それがすっきりしたよ。なんて言うか、ずっと、ずっとはるか遠くまで見ているって感じだよ。こんなに、明るいんだっていうか』って
『さぁ、そろそろ帰ろう、リッちゃんが待っているよ』って、アッちゃんが
その頃、僕の家では大変だったらしい、とは言え、何か問題が起きたわけではなく、テレパシーを使って実況中継のように愛ちゃんの家でのことを、聞いていたリッちゃんが、オイオイと泣いていたのだ。どうもそれが、お父さんにもお母さんにも泣いているというより鳴いているように聞こえ、おまけに理由が分からないから、始めは、優しく注意されていたのが
『リッちゃん、駄目だよ、吠えちゃ。静かに』
『リッちゃん、うるさい、なんなの、じゃ、玄関に行って、誰か来たか見に行こう』とか
『お母さんのと頃に来て、怖くないから、何にも無いから』なんて、リッちゃん的には、かなりうるさく言われていたらしい。どんな感じで、泣いていたのか想像がつく。
そう、僕の弟は涙もろいんだ、そして優しいやつなんだ。
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