地上にでた僕たちは、とにかく急いで家に向かった。なにしろ、昨日の夜からリッちゃんは幽体離脱したままなので、寝返り一つ打っていないわけだから、お母さんが目を覚ましたら、
『リッちゃんが、リッちゃんが、お父さん早く起きて、昨日から動いていないのよ。病院へ連れて行かなくては』なんて、騒ぎ出しそうだから、まぁ、それだけ、リッちゃんは大事にされているということなんだけれど。ただ、僕は、むやみにお母さんを泣きながら病院に行かせるのが嫌だ。お母さんは、僕が亡くなる一年間、病院の往復の道を、いつも泣きながら車を走らせていたことを僕は知っているから。どこのお母さんもきっと、そうなんだろうけれど、だから泣かずにすむものは泣かせたくない。
家に着いたら、まだ、お母さんもお父さんもぐっすりと寝ている。みんなで
『ホッ
』って、
それから、リッちゃんは、なんだかとっても慣れた感じで、自分の中に入っていた。そして、かなり疲れているので、そのまま眠りに入ってしまった。ピクリともしないくらいに、爆睡。お母さんが起きて来たら、本当に騒ぎそうなくらいに、大きな鼾もかき始めてきた。リッちゃんの鼾を聞くのも久しぶりなので、なんだか新鮮な気がした。
僕らもかなり疲れていたので、昨日からの山さんの話は、少し休んでからということにして休むことにした。今度は、愛ちゃんも空君も大人しく眠りに着いた。何故か、二人はお母さんとお父さんのベッドの上で。僕とアッちゃんは、二人の寝顔を見て
『一時はどうなることかと思った。二人の痺れも痛さも治ってほんとに良かった』って、どちらともなく。
『帰りは、みんな無口だったね。今日、目が覚めたら、大変そうだね。僕ら、少し休もう』って言いながら、僕とアッちゃんも眠りに入っていた。
僕は、目を閉じながら、空君のお母さんと愛ちゃんのお母さんのことを少しだけ、思い浮かべてみた。山さんの中で見た、二人のお母さん達のことを、そしていつの間にか眠っていた。
お母さんの声がする、僕の写真に
『元ちゃん、おはよう。お腹、空いたでしょう。今ね、ちょっと待ってて』って言いながら、お水とフードの入っている小さなお皿をキッチンに持っていき、新しいのに取り替えて、お花のお水も取り替え、お線香に火をつけ
『はい、どうぞ。しっかり、食べるのよ』って言って、まだ家に置いてあるお骨をまるで僕の頭を撫でるように、お母さんの朝一番は、僕がいたときと同じように、僕の食事の用意から始まっている。いつもと、違うのはリッちゃんがまだ起きずに寝ていることだ。お母さんは、爆睡しているリッちゃんを見て
『あら、珍しいリッちゃん、まだ寝ているんだ』って言いながら、食事の用意をしながら、掃除を始めた。
その音で、愛ちゃんが最初に目を覚ました。僕が、目を覚ましているのに気がつくと、愛ちゃんは僕の横に来て、『おはよう、元ちゃん』って、僕の頭を撫でた、そして、僕を膝の上に抱き、指で僕の毛をといてくれている。僕も
『おはよう、愛ちゃん、良く寝れた。お母さん、寝相が悪いから、蹴られなかった』って、聞くと
『うん、わかない。ぐっすり、寝ちゃったから、もしかすると愛ちゃんが、元ちゃんのお母さんを蹴っちゃったかも』
『よく、寝れたら良かった』って、話しているとお父さんが起きて来て、まだ寝ているリッちゃんに
『行くぞ、リッチ。散歩』って、声を掛けられたリッちゃんは、薄目を開けて
『えっ、もう、そんな時間』っていう顔でお父さんを見た。
お母さんが、お父さんに
『リッちゃん、具合が悪いんじゃない。なんか、だるそうに見えるけれど。大丈夫、いつも、散歩、散歩ってうるさいのに、私が起きてきても気がつかなかったの』って言っている。
どうやら、リッちゃん気が付いたらしい、この空気は不味い、いつものように散歩、散歩って。
アッちゃんと空君も、目を覚ました。
『さぁ、僕たちも散歩に行こう』って、アッちゃんが
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