僕とアッちゃんは、山さんに袋のお礼を言って山さんから、木の根の袋を受け取る。
山さんは、クラッシュアイスになったモンスターをじっと見ながら
『私、ずっと脅えていました。私は、意志の弱い山です。だから、モンスターに言われるままに山の9割近くをモンスターに明け渡していたのです。情けないです。でも、ある時、私は夢を見たのです、猫が、アッ、ごめんなさい』
『いいんですよ。僕、猫だから、続けてください』って、僕は山さんに笑って言った。
『その夢の中で、猫と何人かの仲間が私を救ってくれるという、本当に夢物語の夢だったんです。まさか現実になるなんて。でも私は、その夢に懸けたんです。夢の中で、木の根で編んだ袋を用意するようにと、お告げがあったんです。だから、私はその夢を見たときから、ずっとこの袋を編んでいたんです。そして、編み終わった時に、あなた方が来たんです。私は、信じられませんでした、夢の続きを見ているような気になりました。でも、元気さんとアルフさんが、私の中で道に迷った時、今、勇気を出さなくては、絶対にこの方達を私の中から出さなくては、そして、私を救ってもらわなくてはって思ったんです。これは現実で、猫さんと犬さんを今助けなければ、私は、私の全てがモンスターになってしまうと思ったんです』って、山さんがここまで言って、一息入れてから、本当に嬉しそうに
『そして、夢の中でのお告げは、猫さんたちがやっつけたモンスターを木の根の袋に入れて、泉の中に投げ入れるようにと』って、山さんが言う。
丁度、山さんの話が終ろうとした時、ワイワイ言いながら、リッちゃんの背中に乗った空君と愛ちゃんは
『綺麗な泉だったね、あそこは、鍾乳洞って言うんだと思うよ』って、空君の声が聞こえてきた。
その声に、山さんはニッコリして
『良かったです。あのお仲間さんたちは治ったのですね。お役に立ててよかったです』
愛ちゃんがリッちゃんの背中から下りて、
『治ったよ、綺麗な泉を見たよ』って言いながら、僕らの方へ駆け出してきた。僕は心の中で、『転ぶなよ』って、そして、不思議そうに山さんを見て
『あなたは、山さんなの
ありがとう。山さんの泉のおかげで、痛いのが治りました』って言って、チョコンって頭を下げた。
空君も、リッちゃんから下りて二人で並びながらこっちに向かって歩いてくる。そして
『治りました。ありがとうございました』って、山さんに
『モンスターは、このクラッシュアイスは、何。どうしたの』って、三人が声を揃えて聞く。
僕とアッちゃんは、顔を見合わせて
『これが、モンスターの正体だよ』って、言いながら僕は、アッちゃんの顔を見て、おやって思っていたら、空君が
『アッちゃん、なんか顔がへんだよ。何かが、足りない感じがするんだけれど』って
『アッ、アッちゃん、髭がないよ』って、リッちゃんが笑いながら言う。
『本当だ、リッちゃんには、お髭があるのに。アッちゃん、どうしたの』って、愛ちゃんも
『もしかしたら、このクラッシュアイスの中かな。アッちゃん、ごめん、犯人は僕だと思う』って、僕は言うと
『多分、でも、自分でも焼いてしまったような気がしなくもない。木の根で編んだ袋の中で、僕の髭はモンスターが、蘇らないように見張っていることにするよ』って、アッちゃんは少し偉そうに言った。
僕らは、山さんが作った袋の中に、木の葉でクラッシュアイスを集め残しが無いようにきれいに集めて、袋の中に入れて、木に根でしっかりと封をした。僕たちは、山さんを先頭に、モンスターを入れた袋を引きながら、泉に向かった。さっき空君が鍾乳洞って言っていたのが聞こえていたから、ここが少しひんやりとしているのが納得。ただし、僕は鍾乳洞って言うところは初めてなんだけれど、とても神秘的なところだ。そして、泉は透明で人の心の中まで映してしまいそうな感じだ。この泉の中でなら、モンスターも大人しく眠っているだろうって思った。
静かに、僕らはモンスターとアッちゃんの髭が入った袋を泉の中に入れた。袋は、誰かが泉の中から引っ張っているみたいに、スルスルと引き込まれていった。山さんも、僕らもじっと袋を追っている、いつしか袋が見えなくなった。全員が大きなため息を、あっという間の出来事だったのに、とても疲れてしまった。
『こうしてはいられない、帰らなくちゃ。お母さんたちが、起きちゃうと不味いから』って僕、思い出した。
『山さん、もう大丈夫だよ。少しづつ元の自然がいっぱいの山さんにかえっていけるよ。僕たち、また山さんに会いに来ます』って言うと、山さんは
『いいえ、来てください。本当に、ありがとう。夢の中に出てきた、猫さんに犬さんたちに可愛い女の子に男の子、本当に、また来てください。その時には、自然がいっぱいの山になっていますから』って、山さんが
『わぁ、楽しみ』って、愛ちゃんが
『じゃ、カブトムシなんかもいるんだ』って空君が言うと、山さんが
『えぇ、いますよ』って
『限がないから、さようならしよう』って、アッちゃんが
山さんと、お別れをして
僕らは、泉から山の核まで戻り、山に入ってきたときとは逆に、大きな木を目指して地上へ、もう夜が白々と明け始めていた。
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