残った最後のドアにボールがあたり、ドアが開く、そこにいるのはなんていうことだ、まだ目が明くか明かないかの天使君だ。僕ら全員が
『なんていうことを、天使君が可哀そう』って、
僕は、出来るだけお母さんのことを見ないようにした、猫のお母さんのことも勿論、そして気を落ち着かせなくては、僕まで浮き足立っては、みんなの動揺を落ち着かせられなくてしまう。ドアの向こうにいるお母さん達も、天使君も絶対に幻なんだ。仮に幻でなかったとしたら、それはモンスター以外に考えられない。モンスターがお母さんや天使君に化けて、僕たちの心を動揺させようとしているんだ。モンスターたちにとっては、僕らが邪魔なはずだからら、地上で僕らが大事に思っている人たちに化けて脅そうとしているんだ。
『みんな、騙されちゃ駄目だよ。あそこにいるのは、お母さんでも天使君でもないよ。あれは、モンスターが化けているんだ。僕らのお母さん達も天使君も、絶対にモンスターの化身になったりなんかしない。しっかり目を明けて、心の目を明けて見るんだ。そうしたら、モンスターの姿が見えてくるから』って、僕は言った。
『本当に、心の目を明けるんだよね。あー、僕、駄目だよ。ずっとお母さんに会いたかったから、あそこにいるのがモンスターって言われても、お母さんに見えちゃう。元ちゃん、僕どうしたらいいの』って、空君が泣きながら
『空君、天界にいるママのことを思って、そして、ペンダントを握って』って、僕は言う
『うん、ママのこと。ペンダントを握るんだよね』って、空君が、大きく深呼吸して
『あれは、お母さんじゃない、僕のお母さんの姿をしているモンスターだ。僕は、騙されない、お母さんじゃない。ママ、僕に力を』って、空君は自分の世界に入っていこうとしている。
空君のお母さんに化けている、モンスターは
『空、何をしているの。お母さんよ。空の好きなハンバーグを作っているのよ。早く、いらっしゃい』って、
れいちゃんに化けているモンスターが、アッちゃんに
『アッちゃん、お母さん会いたかったよ。早く、お母さんのところへ来て、顔を見せて』って言う、れいちゃんのモンスターの横にいる、ゴールデンレトリーバーのアッちゃんのお母さんのモンスターも
『アルフ、来て。お母さんよ』って
アッちゃんの心が揺れているのが、僕に伝わってくる。アッちゃんは、戦っている、自分に勝つために、ペンダントを銜えて、目を閉じて必死に自分に言い聞かせている。
『あそこにいるのは、モンスター、お母さん達に化けているモンスター、僕は騙されない。お母さん達は、ドッグマザーは、僕らを守っていてくれる。真実を見る目を、僕にください』って、言いながら目を明ける。
愛ちゃんのお母さんのモンスターが、泣きながら愛ちゃんに
『愛ちゃん、ごめんね。お母さんが悪かった。本当にごめんなさい。どんなに誤っても、もう遅いことは分かっているけれど。愛しているわ、愛ちゃんのこと、亡くなって気が付くなんて、なんて愚かなお母さんなんでしょう。お願い、許して。そしてここに来て、お母さんに顔を見せて』って、懇願する。
『そう、そんなに反省しているんだったら、何か証拠を見せて。あんたには、何も出来ない、自分が一番大事だし、ずっと私を生んだことを後悔していたし、私が早く餓死することをずっと望んでいた。私が死んだと聞いて、あんたは嬉々として、私を預けっぱなしにしていた実家に帰ってきて、私に掛けていた生命保険金だけを、持って出て行ったのを私は知っている。あんたは、私の死に顔すら見なかった。涙一つ流さなかった。私は、みんな知っている。そこに居るのが、本当の私の母親でも、モンスターでも私は構わない。さぁー、これが、私の答えよ、私の憎しみを、私の悲しさを知れ』って言い終わる間もなく、愛ちゃんは、手に持っていたブーメランをおもいきり力を込めて、4番目のドアの中にいるお母さんに化けたモンスター目がけて、投げた。ブーメランは、4番目のドアを壊し、中にいたお母さんに化けていたモンスターの、鼻っさきをかすめて愛ちゃんの手に戻ってきた。勿論、驚いたモンスターは化けの皮を剥がされた。
愛ちゃんのおかげで、揺れていたみんなの心も、靄でかすんでちゃんと見ることが出来なかったものも、はっきり見ることが出来るようになった。
五箇所の扉の中にいた、モンスターたちが全て正体を現し、5番目の天使君に化けていたモンスターの扉の中に集まった。
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