その夜、僕はなかなか寝ることが出来なかった。リッちゃんは、今日も僕のそばにいてくれる、そして「元ちゃん、僕が付いているから、安心して寝て、苦しくなったらすぐにお母さんを起こしてくるから」って言ってくれた。僕は「ありがとう。今は気分は悪くないよ。少し疲れてはいるけれど、こうして起きていて、家の中のいろんな音や空気を感じていたいんだ。ほら、お父さんやお母さんの息づかいや、いびき、口がもぐもぐしている、聞こえるだろう」と言うとリッちゃんも「本当だ、いつも気にしていなかったけれど。あっ、お母さん、壁に足をぶつけた。フ、フ、フニコニコ」と笑う。僕は「僕は、いろんなことを覚えていたいんだ。くだらない事でも、あとで思い出して、僕は一人じゃないって、僕には、たくさんの思い出がある。だから、淋しくないって!!そうだろう、リッちゃん」「元ちゃん、僕も付き合うよ」ってリッちゃんが言った。「うん、でも、リッちゃん、昨日も僕のこと看病していてくれて、あんまり寝ていないの知っているよ」って言うと、「僕は、大丈夫さぁ。元ちゃん、本当はもう少しなんだろう。こうして一緒にいられるの。さっき、チョコを少ししか舐めていなったの見ていたもの。僕には、隠さないで、僕だって、元ちゃんとの思い出を、いっぱいつくっておかなきゃいけないんだ。そりゃ、お父さんやお母さんと一緒には居るけど、一人で留守番する時に元ちゃんと同じ思い出を思いでして、元ちゃんと一緒に居るって思いたいんだ。そうしたら、僕らいつも一緒に居ることになる。そうしたら、淋しくないもの」って。「そうだねぇ、一人になるのは僕だけじゃないんだよね。そうだ、リッちゃん、一人で留守番する時、やたらと吠えちゃ駄目だよ。風の音なんかにビビッチャ駄目だよ。きっと、慣れるまでは大変だと思うけど」「僕の姿が見えなくても、僕の声が聞こえなくても、僕はお父さん、お母さん、そしてリッちゃんといつも一緒に居るよ。だから、安心していいんだよ」って僕は言う。「えっ、本当なの、元ちゃん」ってリッちゃんが聞き返す。「僕、分からないけれど、段々そんな気がしてきた。きっと、大事な人たちのそばにずっと一緒に居るんだ。ただ、なかなか、見えないから分かってもらえないんだ。だから、淋しくなっちゃうんだと思う。ほら、お母さんみたいに、見えないものは信じないなんって言う人も居るし」って言う。「お母さんは怖がりだからだよ、ちゃんと元だよって教えてあげないと駄目だよ。驚かせないようにしないと、お母さん夜中にトイレに行きたくなったとき困るから、元ちゃん、気をつけてねぇ。そうだ、大事な人たちと一緒に居るっていうのは、よくテレビドラマなんかで心の中に生きているとかって言うのはてなマーク」ってリッちゃん。「突然そんな気がしたんだけど、本当のところは分からない。でも、どんなかたちかは分からないけれど、僕はみんなと一緒に居る、絶対に決めたんだ。そして、ちゃんと見守っているよ」って僕が言う。「じゃ、僕が一人で留守番をしている時に、元ちゃんに話しかけたら、何かで答えてくれるはてなマーク」「うーん、今は、何でって言えないけれど、僕、リッちゃんにここに居るよって、ちゃんと返事するよ。なんだか、出来る気がしてきた」「元ちゃん、約束だよ、絶対だよ」ってリッちゃんの目は輝いている、「うん、約束するよ、絶対に僕、リッちゃんと一緒だよ」きっと僕の目も輝いていたんだと思う。僕らは、人が聞いたら思わず笑ってしまうような話を、真剣にしていた。僕の体はかなり弱ってきていたけれど、こうしてリッちゃんと話をしていると、体は弱ってきているけれど何故か僕の心は晴れ晴れとしてきた。正直言って、僕は病気になって僕の蝋燭の炎が消えかかっていることに気が付いてから、「死」って言うのが怖くて怖くて、何度も逃げ出しそうになっていた。リッちゃんには、「大丈夫」って強がりを言っていたけど、でもねぇ、やっと本当に僕は、「死」を受け入れることが出来るような気がした。僕らは、一晩中そんな話を尽きることなくしていた、そして二人とも寝不足で目の下にくまが出来ていた。僕らは同時にお互いに顔を見て「すごい顔しているよ。お母さんに何か言われそうだ」そしてリッちゃんは、僕に「元ちゃん、もうそろそろお母さんが起きて来るけど、ご飯食べれる、もう無理そうだったら、無理に食べなくてもいいよ。僕らいつも一緒だから」って、僕は「うん、無理かもしれない」って言った。


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