僕は、少し微妙な体の違和感を感じながら、お母さんに抱っこされる。やっぱり、お母さんの抱っこは良い、きっと気のせいだ、僕は神経質になっているから、お母さんに抱かれてグルグルと喉を鳴らしながら、寝てしまう。その間お母さんは、ずーっと同じ体勢でいるのは、きつくなってくるので、少しつづ腰をずらしたりと悪戦苦闘する。でも、お母さんは、特に用がない限りはそうやって、僕をずーっと抱いていてくれる。リッちゃんは、お父さんの膝の上に大きな顔を乗せている。時々、リッちゃんは手でお父さんの膝を、「トン、トン」ってするんだ、これは何か食べさせろって言う合図なんだ。僕の具合が気のせいなら、僕の家では、明日も、明後日も、それからずーっとこの先もこういう、まったりとした心地良い時間が続くんだ。続いたら、どんなに良いか、多分、そんなことを思いながら、僕は寝ていたんだと思う 。うーんって、目が覚めた、お母さんと
目と目が合う。「起きた、重たいよ」って言われる。僕は「へ、へ
」って笑いながら、お母さんから降りようとする。お母さんも同じ体勢なら、僕も同じ体勢でいたので、ちょっとストレッチをしなくては、アッ、なんかめまいがする。ほんの少しだけど、お母さんは、うん
って、僕を見た。僕は、何事もなかった顔をして、猫のストレッチを始める。なんとか、めまいは落ち着いた。どうしようかなと思いながら、やっぱりお父さんに抱っこしてもらうことにした。お父さんとお母さんは、テレビを見ながら、れいちゃんとアッちゃんはどうしているかと話している。僕も気になる。その夜、お父さんとお母さんが、寝てから僕とリッちゃんは、アッちゃんがどうしているかなって話し合った。「退院してから、寝たきりみたいだね」ってどちらからともなく。リッちゃんは、さっきの僕のめまいを気付いているのに、そのことには触れない。僕が、「さっき、お母さんから降りようとした時に、めまいがしたんだ。なんとも言えない、嫌な感じのめまいだった。初めてなんだ、あんなめまい。軽かったんだ、すぐに治ったから」っていうと、「やっぱり、そうだった。なんか変だと思っていたんだ。大丈夫?」ってリッちゃんが言う。僕は、「正直に言うと、もうヤバソウな気がする。僕、この一年何回も、貧血やめまいになっているけれど、さっきみたいなのは、無かったから」と言う。リッちゃんは「それで、今はどうなの。もう休んだ方がいいかも」と言う。僕は「うん、時々体がヒューって引っ張られるような気がするんだ。もう、寝ちゃうと僕には、朝が来ないような気がして、怖いんだ」と、恥ずかしいけれど泣きながら言うと、リッちゃんは「気分が悪くなったら、すぐお母さんを起こしてくるから、安心して。眠らなくても、目を閉じて横になっているだけでも、楽かもしれないよ」って、泣きながら。僕は「リッちゃん、怖いよ、目を閉じるのも怖いんだ。僕、死にたくなんかないよ
」って訴えた。リッちゃんは泣きながら僕の言うことを、黙って聞いてくれた。僕もリッちゃんも、もうどうにもならないことは、判っているんだけれど。僕は泣きながら、体がブルブルと震えてきた、リッちゃんが「お母さんを起こしてくるね」と言うので、僕は「大丈夫、リッちゃんどこにも行かないで、僕の横に居てお願い」って、「まだ、頑張れる、こんなことぐらいじゃ、へこたれない」って泣きながら言う。「そうだよ、そうじゃなきゃ、元ちゃんじゃないよ」とリッちゃんも泣きながら言う。おもいっきり、泣いたら少し元気になった。体の具合とは別の、胸のつかえが少し取れた。また、リッちゃんにいやな思いをさせてしまった。僕は泣きつかれて、少し寝てしまった。あんなに、目を閉じるのが怖いと言っていたのに、リッちゃんはずっと起きて僕を見ていてくれた。目が覚めて「ずっと、起きていてくれたの」って聞くと、照れくさそうに「うん、元ちゃんの寝顔、見ていたんだ。口をムニュムニュさせていたよ。何か夢でも見ていた」って聞かれた。「あー、そう言われると、子供の頃、違う、赤ちゃんの頃、
猫のお母さんのおっぱいを飲んでいた夢だ」、「リッちゃん、ありがとう。言われなかったら、夢、思い出さなかったから」と言うと、「気分は、少し良さそう」って聞かれた。僕は「夢の分だけ」と答えた。僕は、今度は朝までぐっすりと寝た。リッちゃんは、時々目を開けて、僕のことを確認していたらしい。
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