4月の血液検査は、18日。僕の体調は表面的には、何も問題がない。18日までは、まだ何日かある。去年、僕が溶血性貧血って診断されたのは、4月17日だからもう少しで1年になる。早いなぁ、あっという間だ。その間、何回血液検査をしたんだろう。入院をして輸血もしたし、点滴もしたし、鼻にチューブも通した。苦しくて、何回思ったことか「早く、楽になりたい」って。それが今、何もせず、黙っていても、すぐそこまで来ている。僕は自分に「落ち着け、ここまで来たら、出来るだけお母さんやお父さん、リッちゃんのそばにいて、一番良い時に、蝋燭の炎を消さなくては。それが僕の最後の仕事なんだから。仕事と言うとなんだか、響きがよくないかなぁ?そうだなぁ、僕に出来る最後の親孝行、残り少ない時間に中で、いい時を選ばなくては。それ以外は、リッちゃんの言うようにのんびりしよう。リッちゃんへの頼みごとはあれで良かったと思う。」と思った。去年は見ることの出来なかった、桜桜を今年は見ることが出来ると思う。ただし、見ることの出来なかった去年より、見れるであろう今年の方が、僕はつらいかもしれない。でも、僕はつらい気持ちで見る、最後の桜を忘れないようにしっかりと、見ておくんだ。これはポジティブな気持ちでだよ。お母さんは「桜は、気が狂っているようで、キライ」って言っていた。そんなことを言っていても、近くの桜がつぼみを付けたら、きっと「元ちゃん、もうそろそろ桜が咲くよ」って言っては、僕を抱いてベランダに出るんだ。咲きはじめると、「元ちゃん、桜が咲いたよ、きれいだねぇ」って、「見て、見て」って、結構はしゃぐんだ。僕は、18日までの何日間かを本当にのんびり過ごした。天気の良い日は、玄関のドアが開いていたりすると、リッちゃんと二人で階段のフロアーで、日に当たりながらゴロゴロする。お母さんが出てきて、僕らに「この季節は、夏より紫外線が強いから、二人とも日に焼けるよ」って、訳の解らないことを言う。そして、自分もしばらく、僕たちと一緒に階段に腰掛けているんだ。僕の頭を撫でたり、リッちゃんの頭を撫でたり、時々僕の大嫌いなブラッシングもするんだ。リッちゃんは、お母さんの好きにブラッシングをされている。ここでは、僕の爪のカットもするんだ。そう言えば、前に書いたかもしれないけれど、お母さんたちが行っている、スポーツクラブの会員に人にお母さんは、変わった頼まれごとをしたんだ。何でも、その人が言うには、ネコ猫の爪をお財布に入れておくと¥お金が貯まるんだって、今までお財布に入れていたのを無くしたので、お母さんに僕の爪をカットしたら、もらえないかって頼まれたんだって。お母さんは、お父さんに「そういう迷信って言うか、なんて言うか、知っている」って聞いていた。お父さんは、「そんなのは知らないな。嘘だろう。初めて聞いた、冗談だろう」って言って、大きな声で笑っていた。でも、お母さんは、そういうの以外に律儀な人だから、頼まれたんだし「元ちゃん、協力お願い」って言って、僕の爪をカットして、その人にあげたんだ。そうしたら、それは冗談なんかではなく、その人的には本気のことで、僕は後日、その人からお礼にと言って、缶詰を幾つかもらったんだ。そして、お調子者のお母さんのお財布にも、僕の爪がそれ以来入っているんだ。お金が貯まったというのは、僕の知る限りでは聞いてない。この頃、お母さんとれいちゃんは、今年こそ富士山に登ろうと会うごとに話していた。そして、去年、心臓の病気で入院した、お母さんのお父さんも元気にしている。僕の周りは、16日にれいちゃんからの電話が入るまでは、至って平穏だった。多分、れいちゃんの電話から、それまでスローモーションのように動いていた時間が、急にスピードアップしたような気がする。決して、れいちゃんのせいではないんだけれど、これで僕とアッちゃんを結ぶ線がつながった。


                        続きはまたメラメラ