僕は、リッちゃんに日を改めて、もう一つお願いをした。それは「三つ目は、リッちゃん長生きすること」って言ったら、リッちゃんはすかさず「そりゃ、元ちゃんに言われなくても、僕も長生きはしたいけれど、そんな長生きすることって言われちゃうと、僕だって、若くないんだよ。あとどのくらい頑張れるか。これは、元ちゃんの頼みでも、うん、判ったって胸をたたいて、約束は出来ないよ」って。「確かにそうだけど。僕は、自分の蝋燭の炎がもうそろそろ、消えそうなのを感じることが出来る。この予兆は、可なり前からあったような気がする。そうだなぁ、多分、去年の夏ごろからかな。4月に初めて倒れた時と、上手く言えないけれど、体に伝わって来るものが違うんだ。リッちゃんは、まだこんな経験はしたことがないだろう。だから、僕が思うにリッちゃんは、まだまだ元気で居れるんだよ」って僕は言う。リッちゃんは「元ちゃん、なんかその説明には、無理がある。だって、病気ってどんなに気を付けていてもなるんでしょ。そりゃぁ、僕は今、病気という感じはないよ。ちょっと白内障とか、ちょっと足腰がやばいかなって程度だけど。約束したいけど・・・」僕は「その程度なんだから、大丈夫だよ。大丈夫と言うことで、お願いだけど。お母さんのことは、この前頼んだけれど、お父さんだよ。僕とお母さんがずっと一緒だったように、お父さんとリッちゃんもずっと一緒でしょ。お父さんは、ああ見えて僕が思うに、お母さんが僕に依存しているよりも、もっとリッちゃんに依存していると思う。お父さんは、お母さんよりも歳が随分上だし、リッちゃんビックリマークリッちゃんは長生きしなくてはいけないんだよ。お母さんが、僕のことを笑って話せるようになるまでは、絶対に。そうじゃないと、お父さんもお母さんも、立ち直れなくなちゃうから。それは判るだろ、あの二人は、表面的には何事もなかったような顔をするけど、実際は違っているっていうの。すぐ、虚勢を張っちゃう。だから、せめて、お母さんだけでも、凛とできるようになるまでは、僕のところへは来ちゃ駄目だよ」って言う。リッちゃんは、なのも言わなくなってしまった。そして、リッちゃんは僕ら特有の、都合が悪くなると無意識に場面を変えてしまう業を使って突然、「元ちゃん、体の調子はどうなの。お母さんたちが、もうそろそろスポーツクラブから帰ってくるよ。玄関で待っていようよ。外の空気も吸いたいでしょ」って。やられてしまったって、僕が思って「うん、玄関で待っていよう」って言うと、リッちゃんが「元ちゃん、僕たちはいっぱい愛されている分、重たいものも背負っているの」って聞いてきた。僕は答えに詰ってしまった。何て答えるといいのかな?きっとこの時、僕はすごく困った顔をしていたんだと思う。リッちゃんは「どこまで、頑張れるかわからないけど、行けるところまで行くよ。元ちゃんがいなくなっら、元ちゃんの分まで、僕がお父さんとお母さんの面倒を見るよ。お母さんは、僕らの仕事は、元ちゃんは寝る事と、食べる事に時々遊ぶ事、リッちゃんの仕事は寝る事と、食べる事と、散歩することに遊ぶ事って言っていたけど。もう一つ重大な仕事があったんだね」、「なんとかなるよ、元ちゃん。僕、なんとかするよ。それより、元ちゃん、もう少ししか残っていないんでしょ。あとは、のんびりしなよ。もう、いろんなこと考えないで。残りを楽しんで、僕が一人になった時、元ちゃんを思い出して、楽しかったって思える思い出をつくろうよ。」「僕、一人になりたくないよ」って、かすかに聞こえる声で言った。僕は、リッちゃんにお願いだけを押し付けていたんだ。僕は、ここに残るリッちゃんのことを、何も考えていなかった。心の中では、元気でいれるリッちゃんのとこが、羨ましかった。誰が早いか遅いかは判らないけれど、順番に繰り返される、新しい世界への旅立ちなのに、僕は自分のことしか考えていなくて、きっとリッちゃんを随分苦しめてきたと思う。病気になってからの僕は、リッちゃんに本当に助けてもらった。挫けそうになった時も、お母さんやお父さんでは判らないことも、リッちゃんは判ってくれた。それなのに、なんてことだしょぼん僕は「リッちゃん、ごめん」としか言えなかった。リッちゃんは「きっと、僕も元ちゃんの立場になったら、同じことを頼むを思うよ。気にしなくていいよ。いつも、僕のこと、たしなめてくれるお兄さんの元ちゃんでいて、最後まで」って。


                        続きはまたしょぼん