病院は、AM9:00からだけど、少し早かったけれどすぐに見てもらうことが出来た。いつもは、病院の診察室に入ると「ギャー」という雄たけびを上げるのに、今日の僕にはそんな力はない。バスケットから診察台に出されても、何の抵抗も出来ない。先生は、僕を一目見るとすぐに右手の毛をカットして、血液を採取した。僕は、初めて先生に「お願い、苦しいよ先生、助けて」って言った。先生に伝わったらしく、先生が「大丈夫、元、良い子で頑張れ」って。そして、お母さんに「血液検査の結果は、15分くらいかかります」と言った。そして、その間に先生は、お母さんに色々な質問をしていた。「食欲が落ちたには、いつから・」、「お水は、飲んでいた?」、「ふらついたりしていなかったか?」、「オシッコはしていたか、ウンチはどうだったか」、「出血していなかったか」お母さんは、出来るだけ落ち着いて、自分が分かる限りのことを、先生に説明していた。僕はその間ずっと、お母さんに抱かれて「フー
」って感じだった。頭の中では、さっき先生は「大丈夫、頑張れ」って言ってた、「大丈夫なんだ」って、少し安心をした。大体の質問が終って、先生はお母さんに「もう少し待っていてください」と言って、診察室から出ていった。診察室には僕とお母さんの二人だけになる、お母さんは、先生のいる間は頑張って堪えていたけど、二人だけになるとまた泣き出してしまった。何も言わずにただ、ただ泣いている、お母さんの涙が、抱かれている僕の頬に落ちてくる。僕はこの時、真剣に頑張らなくては絶対にと思った。何分かして、先生が血液検査の結果を持って診察室に入ってきた。その時初めて、「溶血性貧血」と言われる。先生は、どんな病気で、どんな治療をしていくかをお母さんに説明している。とにかく、緊急に輸血をするという。当然、入院しなければいけないみたい。きっとこれから、僕は色々な検査をされるんだろうな。いつもだと、「そんなこと嫌だ
」って文句を言うんだけど、それどころではない。今日からは「なんでも言うことを聞くから、先生、助けて」。僕、このまま終るわけには行かないんだって、気が遠くなりながらずーっと思っていた。今の僕には、「先生が頼りなんだ、お願い、僕のこと助けて、お母さんがこんなに悲しんでいる」、「僕がこのまま、死んじゃったら、お母さん自分のせいだと思って、立ち直れなくなっちゃう」、「僕、どんなことでも、我慢するからお願い、もう少しお母さんとお父さんの子でいさせてよ」、「リッちゃんとも色々なこと、話し合わなくては、いけない」、僕は、どんなに痛くて、どんなに辛い治療でも我慢するんだ。先生とお母さんの話が終った。お母さんは僕に、「元ちゃん、頑張るんだよ。先生が治してくれらから、お母さんは、一度お家に帰って、後でまた来るから」、「先生や看護婦さんの言うと、ちゃんと聞いてね」って、泣きそうな声で言った。そして、先生と看護婦さんに、「お願いします。何かあったら、電話をください。夜、来ますので」って言って、診察室を出て行った。受付で、お母さんの「お願いします」って言う声が聞こえた。診察室に独りいる僕に、お母さんが、悲しそうに帰って行く姿が目に浮かぶ。きっと来るときの車のように、帰りもお母さんは車の中で、泣くんだろうな。僕の方こそ、「病気になんかなってごめんなさい」、「お母さんを悲しませて、ごめんなさい。僕、絶対に治るから」って思っているのに。先生と看護婦さんが、僕の周りで忙しそうに動いている。これから、健康なネコさんから献血するらしい、人間と違ってストックしている血液はないみたいだ。僕はそれを待って、輸血するらしい。看護婦さんが「元ちゃん、もう少し待ってて。疲れたでしょ、目を閉じて、寝ようか」って言ってくれた。僕は、その言葉に従うことにした。「目が覚めた時には、色々な事が終っているといいな」、なんて思いながら、僕はいつの間にか、眠りについた。気が付いた時、まだ、輸血の途中だった。丁度、看護婦さんが見に来たときだったので、「元ちゃん、目が覚めた、動かないでね。もうすぐ、終るから」、「終ったら、楽になるよ」って言ってくれた。僕は、動かないでというよりも、動けなかった。でも、病院に連れてこられた時に比べると、はるかに気分もいいし、楽になっている。なんだか、少し「ホッとしてきた」
続きはまた![]()