匂い臭覚は非常に正確で正直な機能のように思う。視覚には見間違い、思い込みや幻覚のような現物との誤差があり、聴覚にもまた同じような誤差があるが、臭覚は他の機能と比べその誤差が限りなく少ない。生の維持や種の保存を臭覚に頼る動物は多い。嗅ぎ分ける。それほど匂いというのは正確で、嘘がつけない正直者なのだろう。いくら取り繕うと消すことのできない「匂い」、漂う雰囲気としての「匂い」もまた消せるものではない。それは芸術の随所にも現れる。作品の匂いは作者を最も正確に言い当てているものなのかもしれない。