イギリスの病院 | 自称猫ブログ 〜 猫23匹と英語と Genkiのブログ 〜

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スコティッシュフォールド23匹との暮らしや2大手予備校の一つと学校で英語を教えている日々を綴っています。
Cats, English, and sometimes cooking - these things I love in life. Whatever I think worthy of writing, I will write here.

皆さんは病院に入院したことがあるだろうか。

私は日本の病院に入院したことはない。が、イギリスの病院に入院したことはある。日本では考えられない(と思う)が、寮の食事で出されたフライドエッグ(つまり目玉焼き)にサルモネラ菌が繁殖していて、それに当たってしまったのだった。寮では百人以上が列を作って順番に自分の食事をサーブしてもらうのを待つので調理してからサーブされるまで放置されたフライドエッグにサルモネラ菌が増殖してしまった??ということらしい。イギリス人はどうやら免疫があるのか、これに当たったのは日本人三人のうちの二人だけ。残りの日本人一人はフライドエッグが残っておらず別のものをサーブしてもらったようだ。

食中毒はとっても辛い。熱が40度に上がり、激しい腹痛に襲われ、何も食べられなくなるし(汚くてごめん)下痢がとにかく続く。一週間ほど何も食べられなかった。最初のうちははっきりと原因が分からなくて寮の自室で耐えていただけだったのだが、どう見てもおかしい、ということで病院に搬送され、「サルモネラ菌の中毒」という診断が下された。入院初日はとにかくお腹が痛くて熱が高く寝ていても不快であまりよく眠れなかった。

翌日になると例え熱は高くても「シャワーを浴びるように」という指示が出されて、まっすぐ立てなくて体を折り曲げるような格好でシャワーを浴びた。

落ち着いてくると周りが見えるようになってきた。留学生で世話してくれる家族がいないので退屈だったが、入院4日間の間に牧師が来たり(そういう活動が牧師の活動の一部となっている)、薬やお茶を運んでくる病院職員、看護師が時折やってくる。そして気付いた。「ここはいい病院だなあ」と。まず、日本の一般的な病院と違って病室が一つ一つ部屋として隔てられていない。廊下と病室も隔てられていない。大きなスペースに同じ絨毯が敷き詰められていて廊下スペースと病室スペースを隔てているのは胸の高さくらいの棚だけだ。隣の病室スペースと区切るために背面に壁があったように記憶しているが、廊下側に壁がないため別の部屋、という感じがしない。廊下を歩く看護師、医師は廊下を歩くだけで病室スペースの患者の様子がわかる。暗い夜も全く閉塞感がない。開けっぴろげのスペースでありながら、全く寒々しさはなく、安心感に満ちている。廊下側も病室スペースの奥の側も大きな窓を備えているので、だんだん朝が明けてくるとイギリス特有のオレンジの街灯だけが目立っていた外の幹線道路や家並みが薄紫色に明けてくる。古い国だけあって建物は落ち着いている色調のものばかりだ。落ち着いてベッドに横になっていると、留学にやって来て以来初めて身体をいたわるために眠った気がした。それまではずっと、遠い国に限られた資金を持って勉強しにやって来たという緊張感にとらわれていた気がする。

3日目くらいにかなり回復してきて、「明日は病院の食事をとってもいいですよ」と言われた。が、一週間も何も食べないと何かを食べることが怖くなる。またすぐに激しい腹痛がくるんじゃないか、消化できなくて苦しいのではないか、と。さてさて「食べたい食事にチェックをしなさい」といって渡されたシートには、はたして私が認識できた食べ物は「カレー」しかなかった。これには真っ青だった。「ここは重湯でしょ!!」と言いたかったがイギリスでそれに当たるものが何なのか分からない。仕方なく「カレー」にチェックを入れて、運ばれてきた食事はやっぱり絶対に食べられないと思わせる代物だった。イギリスには珍しくサラダらしきものが付いていたので恐る恐る生野菜を食べたところ、まっすぐにトイレに向かって走らなければならなくなった。こういうところは日本の方が繊細だよね。なお、翌日は中華っぽい食べ物がシートに掲載されていて(chicken chop suey)、完全に身体が回復基調にあった私はこれはとても美味しく頂いた。イギリスの病院、医師、看護師の皆様、本当にありがとう。