セミの声も少し落ち着いてきて
本も読みやすくなったと思ったら、

今日はまた
ずいぶんと賑やかでしたね――。

青空に捕まるくらいなので
もう最期の時が近いのかと思いきや、

青空の手を逃れ、

家中を飛び回り――

あまつさえ
止まった先で
鳴き始める――。

おかげで家中は
大騒ぎでしたね。

特にさくらと麗姉が
賑やかで――。

私も――

他の昆虫ほどの
不快感は感じないとはいえ、

肌に止まられると
あれもなかなかに
イヤなもので――。

どうせ短命なのだから、と――

青空に与した
ヒカル姉の提案で
危うく放置されるところでしたが
そうならなくてよかったと思います――。

一般的に成虫の寿命は1週間ほどと
されていますが、

実際にはひと月程は生きるそうで――

あれがひと月、

家の中を自由に飛び回る光景を
想像すると――。

ああ――

体が震え出します――。

餌の樹液を用意できないからと
青空を説得した霙姉と、

多大な犠牲を払い
セミを捕獲、

野に返したキミに感謝を――。

キミの――

頬は大丈夫ですか?

麗姉のワンピースに
止まったセミをキミだけでなく、

青空も捕獲を試みていたとは――。

飛びかかった青空によりキレイに、

何の引っ掛かりもなく
引き釣りおろされる
麗姉のワンピース――

あれはまるで
出来のいい手品のように自然で――。

そしてセミを捕獲しようと
麗姉を凝視していキミに
決まった平手打ちは、

まるで脚本があったかのように
滞り無く一連の流れのなかに
おさまっていました。

セミが服に入った、

などとボタンを緩める前段取り等
本当に打ち合わせが
あったかのような結果に、

事実は小説よりも奇なりという
言葉の意味を思い知りました。

フフフv

それはともかく――

頬のはれは
すぐに冷やすした方がいいでしょうね。

今春風姉が
氷嚢をとりに行っていますが――

それまでは――。

ああ――

やはり熱を持っている。

でもその分
キミには冷たく感じられているはずです。

麗姉の付けたもみじに重ねても
だいぶはみ出しますが――

キミの熱にやられてしまうまで
私がキミを冷やしましょう――。

-あとがき-
べびプリ日記風SS
今朝戦勇。見て10歳児が幼女なのか、という疑問にぶち有ったので、
とりあえず近いトコロで試してみました。