キレイな――

とってもキレイな虹を
見たんです――。

虹子ちゃんみたいに
パッと映えるような
明るさなくて、

瞬きの間に消えてなくなりそうな、

空の青にすぐ染まっちゃいそうな、

淡い虹でした。

まるで綿雪みたいに――。

あの虹、

お兄ちゃんは見ましたか?

うふふv

なんて見てるわけ無いですよね。

あれはきっと夢だったんですから。

昨日風に当たりすぎて熱が出て
お休みしていたユキだけが見た、

幻の虹。

ぼんやりと見上げた空に
かかっていた夢の中の虹。

消え入りそうな光のアーチを
見ていると、

胸がきゅっとして――

思わずお庭に飛び出して、

走りだしていました。

虹といっしょに
ユキも消えていってしまいそうで。

ふふ――

そんなことあるわけ無いですよねv

もうお病気だって
すっかり治ってしまって、

怖いことなんて
何にもないんですから。

でもその時はとっても寂しくて――

虹の下まで行って
消えてしまわないように
そっと抱きしめたかった――。

でもユキはお家の門まで走るので
精一杯。

泥だらけの足が棒みたいに
動かなくって、

そのまま暖かな
お天気雨に打たれながら
消えていく虹を見ていたら――

何が起こったと思いますか――?

なんと――

お兄ちゃんが
出てきたんです!

夢の中のお兄ちゃんは
大丈夫だよって言いながら
抱きしめてくれて――

ユキの寂しさは
ウソみたいに消えちゃいましたv

嬉しくて心がふわっと軽くなって
そのまま頭がぼーっとなって――

気がついた時には
ユキはベッドの上でした。

雨のお庭でドロドロになった
足も汚れてはいなくって――。

ね?

だから夢なんです。

物音一つしない
みんながお出かけした後のお家に、

お兄ちゃんがいるわけないですから。

でもたとえ夢の中ででも、

お兄ちゃんが迎えに来てくれて
よかったv

ありがとうございます、
お兄ちゃんv

変ですか?

でも夢の中で言いそびれたから
どうしても言いたかったんですv

えへへ――

お礼を言えたから少しだけ
お昼寝します。

あさひちゃんのお誕生会には
もっと元気でいなくちゃ!

ねえ――お兄ちゃん。

寝るまで少しだけ
手をつないでいてくれますか――?

それとお時間になったら――

夢の中みたいに
お迎えに来てくれますか――?

-あとがき-
べびプリ日記風SS
あーちゃんお誕生日おめでとう!
いったい何歳に(ry