ああ――

うるさい――。

宇宙のそれにも似た
真冬の寒さからわが身を守る、

宇宙船の外壁のごとき
布団様をも貫く無粋な騒音――。

海晴のやつ、

目覚ましのアラーム設定を
平日のままにしておいたな――。

もうかれこれ――
4時間は鳴っている――。

何故止めないのだ――。

私からこの心地良いまどろみすら
奪おうというのか。

休日の惰眠――

それは最上級のあんこにも似た――

とろりと上品に後引く
甘い快楽――。

白夜の無い私の故郷において許された、

週末2日間だけの終わらぬ夜――。

残念ながら明日は
わが家の節分があるし、

魔法少女ものの新シリーズで
ホタとチビたちがうるさいから、

その分今日はゆっくり
寝ようと思っていたのに――。

ああ――

節分で――思い出した。

海晴姉はさくらのところか。

それでアラームを忘れて――。

さくら――

節分怖さに
賢しく仮病など使うようになったかと、

その成長っぷりを
微笑ましく思っていたら
そんなことはなく、

鬼の恐怖に飲まれたのか、

自分が鬼になったかのような
生気のない青い顔で
隔離部屋の床に伏していたな。

後でおしるこでも
持って行ってやらないと――。

待てよ――。

――海晴姉が付きっきりなら、

節分にむけてかねてより準備してきたアレ、
仕込みやすいかもしれないな――。

だが、

この布団の誘惑に
敵うほどの魅力ではない、か。

ああ――

それにしてもうるさい
アラームだ。

まるで構って構ってと
アイツにわめきちらす、

あさひや氷柱のようじゃないか。

フフフ――v

こんな日は大変だろうな、
アイツ――。

イベントの準備か、
チビたちの保護者で――、

忙しくて慌てふためいていることだろう――。

不意の事態に陥った小雨のように、

からかわれた麗のように、

目を回しているに違いないv

……

――仕方がない。

ならば私が半分――

――いや、四分の一ほど
引き受けてやるか――。

海晴姉の言うパパママ役、

私が存分に務め上げ――

誰が一番頼りになるか、

アイツの心にしかと
刻みつけてやろう――。

私の心にアイツの愉快な慌てぶりを
刻みこむかわりに、な――v

――フフフv
-あとがき-
べびプリ日記風SS
今日はお布団だと暑かったんじゃないだろうか……