つん。

つんつんつん――

あ、出てきた。

……

崩れちゃったわね、

夕凪ちゃんの南の島の
リゾートコテージ。

――バンガローだっけ?

どっちでもいいわ。

そんなことより、

――動ける?

そう。

……

災難ね。

中にいるときにつぶれるなんて。

これじゃあリゾートとというより
ちょっとした冒険ね。

こんなことが起こるなら
わざわざ南の島なんてところに
行くもんじゃないわ。

夕凪ちゃんや小雨ちゃんの
言うみたいに――

そんなところで
あなたとふたりきり
なんてこともごめんよ!

だってそんなところじゃ
電車は走ってないでしょ?

まあ。

あなたのことだから
夕凪ちゃんたちが
いるときじゃなくてよかったとか、

のんきに考えてるんでしょうけど――。

――図星みたいね。

着いてきて正解だったわ。

何だかんだで
家で一番危なっかしいわよね、
あなた。

もちろん――

私はあなたを心配して
きたわけじゃないけど。

ふん。

夕凪ちゃんが作ったものだし
つぶれちゃう前に探しておこうと
思ってたところにちょうどあなたが、

ってだけ。

当の本人がすっかり忘れてた上に、

昨日一日で壊れなかったのが奇跡な
人工のヤブみたいなものに
ほいほい入り込むなんて。

案の定、ね。

――はい、
熊手と軍手。

探しに来たんでしょ――

夕凪ちゃんのマホウの杖。

――じゃ、
私――行くわ。

この程度なら
一人で十分でしょ?

その代わり生き埋めになって
ドロドロなあなたのために――

お風呂くらいは
入れておいてあげるわ。

――バカッ!

いっしょになんて入らないわよ!!

杖を見つけたら、

お礼に夕凪ちゃんに背中でも
流してもらえばいいじゃない!

あんまり調子に乗らないで!

ふん!

……

まあ。

あまり遅くなって暗がりとかで
ケガする前に引き上げるといいわ――

……

まあ、せいぜいがんばって――ね。

-あとがき-
べびプリ日記風SS
むしろよく完成した……