どんよりとした――

灰色の空。

薄ぼんやりと
霞む景色――

週末までの喧騒が
嘘のように静まり返った町。

空気に満ちた湿気
が私を満たして――

この緩やかな日常を
押し流すような気がして、

窓から目をそらす。

部屋に何列にもなって干された、

運動会の旗のみたいに
色とりどりの洗濯物の
賑やかさも――

今は何だか
煩わしくて、

陰干し中の着物だけを
ぼんやりと眺める。

満ち足りた一日の後の――

暖かなベッドで閉じた瞳に映る
包み込むような黒をたたえた着物を。

それでも気持ちはざわめいて――

一人分だけの着物は
否応なしに、

その持ち主に降って湧いた
いつかのお見合い話の記憶を
引きずり出すんだ――

もしかしたら霙姉は
お嫁に行っていたかもしれなくて――

それは霙姉がいつも
口にしていた――

日常の突然の終わり
だったかもしれなくって――

家族の絆は永遠で、

住む場所が離れたくらいじゃ
揺らぐことはなくって――

でも皆が突然巣立っていって、

皆が私の知らない誰かを
愛していって――

私一人が
取り残されてしまったら――。

……

梅雨は、
嫌いだ――

体を動かせなくて、
余計なことばかり考える。

だからこんな日は――

少しだけオマエにイジワルする。

ふらふらと通りかかった
オマエのシャツを、

だらしなく
伸びきるまで引っ張って――

オマエを少しだけ――

つなぎ止める――

-あとがき-
べびプリ日記風SS
明日はきっと晴れる、はず