いくつもの偶然に恵まれて
太陽からの脱出に成功した
かの彗星のように――

まだ正月の三日なのに
ママが出勤せざるを得ない
今年の日の並びによって
奇跡的に生じた手付かずな一日を――

寝正月という
もっとも有意義な方法で堪能しようと
宇宙より深淵な
静かな暗闇に沈んでいた私を、

お汁粉が出来たという
知らせでも、

新たな年賀の挨拶に訪れた
客人があるという知らせでも無いのに、
叩き起こすとは――

一体どういうわけだ――

寝正月というのは、

常に膨張を続け
自転や公転により

止まることを知らない宇宙に対し――

一切の活動を止めることで
静止することの意義を示す、

ささやかだが重要な儀式なのだ――

嘆かわしいことに
最近は1月1日から活動することが
慣習化しているから――

せめてそれが可能な年には
全力で遂行しようと、

空腹で目が覚めぬよう、

昨夜は動けなくなるまで
食事を取り――

寒さで目が覚めぬよう

湯たんぽと電気毛布を完備、

さらには観月に
安眠効果とリラックス効果のある香を
借りるなど――

準備は万端だったのだ。

それをオマエは――!!!!

ああ、もう!
嘆かわしい――

世が世であれば――

――いや、
姉を起こしに来た
面倒見のいい、この世に
たった1人の愛すべき弟を――

正月早々叱るのは
宇宙より広い心を持つ
私のすることではないな。

ああ、オマエは
戻るがいい、

オマエがいるべき場所へと――

私は再び――
深淵なる闇へと身を投じよう。

オマエを遣わしたのが
例え海晴姉だとしても、

私は――

決して屈しない。

お休み――

……

いやここは、
コイツを取り込んでしまおう、

そうすれば海晴姉も
おいそれと手は出せまい――

フフフv

――待て

オマエは――

眠くはないか?

ママに振り回されるのは
いつものことだが――

正月早々ではオマエも
大変だったろ――?

それに年末の大掃除以来、

毎日軌道を回る星々のように
家族のために働いてまわっていて――

疲れているのではないか?

ならば、
どうだ――?

私と共に、
静止した闇の中へと
身を投じないか?

オマエが剥いだせいで
すっかり冷えた布団も――

私に寄り添えば、

お互いが融け合って
一つなったように

熱を分け合うことが出来る――

それと――
今日この日に滅びの時が訪れず
三が日が無事に開け、

共に目覚めることが出来たら――

その時は月を生み出した
原初の地球とテイアのように

本当に一つになっても構わんぞ?

フフフv

-あとがき-
べびプリ日記風SS
一昨日(1/1)のSS「お年玉」の続きと
言えなくもない。

正月は親戚のちびと遊ぶのと
寝正月が何よりの幸せ!