立夏があのテンションで
騒いでいたせいで――
自分も忘れ物をすれば
あわよくば、と
策略を巡らせる妹たちがいる。
毎朝幼稚園組や夕凪に
ハンカチやティッシュを持ったかと、
確認する側がわざと忘れ物するとは――
困ったものだ――。
オマエも大変だっただろ?
休み時間のたびに、
誰かが現れては――
妙なプレッシャーを
かけられていたのだろうから。
何――
昼休み一番に
オマエを迎えに行った時のリアクションを見れば、
聞かずとも
どのような喜劇に見舞われたかは、
容易に想像が付くさ。
フフフv
せめて昼食時くらいは、
心安らかに過ごさせてやろうと――
ヒカルの目を盗んで連れ出してきて、
正解だったみたいだな、
しかもこの寒空の下なら
誰も寄り付かない
中庭を選択したのだから――
時間まで二人でゆっくりしよう――
寒いなら、
私に寄りかかればいい。
この宇宙を映しだした
漆黒のマントで包みこんでやるv
もちろん、
ブラックホールのように――
オマエをとらえて
離すつもりはないが――
フフv
――それとも
未だ現れていなかった氷柱を
教室で待っていたかったか――?
ああ、やはり、
来てはいなかったか――
大方、
忘れ物をするという
自分の落ち度を利用する行為に
ズルさを感じているのだろう――
そして結局はチャンスを逃し、
自己嫌悪に陥るんだ――
堅物で生真面目で、
何より余裕のない子だからな――
フフ。
アイツの考えていることなど、
手に取るようにわかるさ。
万能な姉や、
特別に愛らしかったり
スポーツ万能だったりする妹に囲まれて――
何者にもなれず、
息苦しい思いをした私だから――
氷柱が居場所を求めて、
オマエを独り占めしたくなるのも
わかってしまう――
……
しかし、
アイツもいつか気付くだろう。
立夏や蛍のようになれなくても、
ユキが氷柱の手を離れても――
この宇宙の広大さに
ちっぽけな自分を思い知らされても――
アイツの居場所は
ここにあることに――
滅びの時までは
絶対になくならない、
そんな居場所が――
まあ――
オマエを19等分して
一人を氷柱にくれてやる事が出来れば、
そんなもどかしさも
即消えるのだろうがな――
フフ――v
さて、
賢明な我が弟は
すでに気づいていると思うのだが――
昼休みで、
しかも手元に星座模様の
お弁当箱を抱えているのに――
私は昼食を摂っていない――
――そう、
あんなことを言った手前
とても言い出しにくいのだが――
箸を教室に置いてきてしまった。
うっかりと――
本当にうっかりと――。
だから、
食べさせてくれ――
今日のお弁当を、
オマエの手で――v
オマエはもうすぐ食べ終わるだろ?
長話のせいで
教室や食堂に赴く時間も
もう、無いからな。
あるいは――
ここは私たちの他には誰もいない中庭――
誰にも見られることはない。
だから
もっと別の方法でもいい。
だったら私は――
口移しでも、
全く構わないぞv
喧騒から連れ出した、
愛すべき姉の――
この破滅的な空腹を
癒すため――
感謝の意を込めて
存分に奉仕するといいv
-あとがき-
べびプリ日記風SS
昨日(11/17)のSS「恋人繋ぎ」の続き。
さらっと過去を捏造してみたり。
それと姉さんの忘れ物は多分過失なんだろうな……