四肢のが外気に侵されたように熱を失い、
宇宙を舞うように上下の感覚を奪われた――


最後に、闇が視界の侵食を始めたとき
あぁ、ついに、終末が来たんだなって――

そう思ったんだ――


こんなに突然、こんなにあっさり
終わりは来るんだなとか――


こんなことなら春風が周到に隠したと自負していた
あの桜餅をくすねておけばよかったとか――


もう一目だけでも、
オマエの顔が観たかったな、とか――


色んなことを考えていた。


その時聞こえたオマエの声――
私を抱きかかえたオマエの感触――


最期の時をオマエと迎えるなら
それはとても――


フ――


だが幸いにして、
世界はまだ、ありのままの形で残っているし、
私はオマエにこうしてもたれかかっている――


そう、あれは大きな世界の終わりでも
私という一つの世界の終わりでもなかった――


オマエ、この商店街の広場に例の白い車がいたことに気付いたか?


オマエと離れた後
私はあれを見つけたんだ。


あんな事があってからもうすぐひと月――
初期に集められた血は、
そろそろ使える期限が切れると聞いていたから
私はあれに乗り込んだ。


そして作業が終わり、看護師が私に言った、
水分をしっかり取れ、と――


だからそこでペットボトルを数本もらい、
商店街で今川焼きを一袋いっぱいに買って
食べていた――


朝寝坊で殆ど朝食を取っていなかったから
代わりにおやつを1食分取ってもいいだろ?


その結果、冷たいペットボトルは私の体温を急激に奪い、
多量の今川焼きは消化のため血液を胃に追いやった――


要するに――
ただの貧血だ。


フ――
私は大丈夫だ――


だから
そんな仔犬のような目で私を見るな。


さ、少し休んだら帰ろう。
オマエは春風にお使いを頼まれていたな。


心配するな――
今日は家に着いたらもう、
大事を取って居間から一歩も動かないさ。


綿雪に対する氷柱のように、
オマエが何でも世話してくれればいいじゃないか♪


あぁそうだ――
大事なお世話係を誰かに取られないように――
虹子みたいに
オマエにひっついて過ごそう――


ほら、このように……


何を今更動揺しているんだ?
蛍の丼サイズならともかく
少食な観月のお椀程度のものを押し付けられた程度で――
フフフ♪


-あとがき-

べびプリ日記風SS
微妙にリアルを垣間見つつ……。
何だかんだでこの駄姉は大好きです。