前回のあらすじ
人生に閉塞感、虚無感を感じ取っていたオレは一通のメールを受け取る。
なんとかして今の人生を変えたい!
決死の思いでその「密会」にエントリーするのであった・・・
セミナーに応募して数日後、参加が決定したことを知らせるメールが届いた。
先着順ということもあり早めにエントリーはしたが
とりあえずこれで一安心である。
しかし、いざ参加が決定すると心の中で色々な不安がよぎる。
ただの大学生であるオレなんかが行ってもいいものなのだろうか?
もしかしたら、他の参加者に超絶バカにされて
みじめな思いをするかもしれない。
てか、ただの大学生なんかに発言できることがあるのか!?
そんな数々の不安を抑え込みつつ日にちが過ぎ、
遂に当日・・・
やらかした。
乗るはずの電車を目の前で逃すという痛恨のミスを犯してしまったのだ。
幸い余裕のある時間に家を出ていたため遅刻確定にはならなかったが
それでもぎりぎりだ。
電車の中で早く着けとやきもきしながら
日本橋を走り回っている現在に至るのであった。
もうほとんど時間は残されていない。
携帯のマップ機能で何回も場所は調べた。
この辺のはずなのだが会場のホテルが見つからない。
どこだ!?どこだ!?
くっそ!こんな時に遅刻するわけにはいかない!
必死の思いで探しているとそれらしき看板があった。
やっと見つけた!
思えばこの時遅刻ギリギリだったのがよかったのかもしれない。
なんせ会場のホテルは驚きの六つ星ホテルだったのだ。
大学生にはあまりにも縁のない場所。
時間に余裕がある状態だったら尻込みして逃げ出していたかもしれない。
とにもかくにもエレベーターに乗り込みフロントがある38階を目指す。
どんなエレベーターを使ってるのは知らないが
一瞬で、本当に一瞬で38階まで到着した。
この時点でオレの中の何かが非日常を感じ取る。
あ、ここヤバいところや、と。
フロントに着くとそこはまるで異世界だった。
一面ガラス張り窓の向こうにはついさっきまでオレが迷い込んでいた
ビルのジャングルが一望できた。
とにもかくにもまずはFacebookで到着したことを連絡する。
するとどうやら案内役の人が迎えに来てくれるらしい。
うお、緊張感がさらに増してきた…
数分後、案内役の人が来てくれた。
彼の名はショーギさん。
もちろん本名ではないが妙に親しみやすさを感じる人だ。
ショーギさんによるとまだ来ていない人がいるらしく
少し椅子に座って待っていてくださいと言われた。
別に端っこのほうで立っていてもよかったのだが
なんとなく気を遣わせてしまいそうだったので近くの空いている椅子、
というかぶっちゃけソファに座ってみる。
っと、何だこのふかふか感は!?
いつも大学や電車のがっちがちの椅子に座っているオレにとっては
椅子の一つすらも非日常だった。
さらに近くでは二人の日本人と思われる人と外国人がぺらぺらと
英語で会話をしている。
もう、やだ、なんなのここ?
少しして全員が集まったらしく、ショーギさんに先導され密会の会場となる
部屋に案内される。
「じゃあ、この中にAUNがいるので」
そう言ったショーギさんがノックをした後カードキーを使い
重そうな木製の扉を開ける。
ついに、密会が始まる…
密会に対する期待と不安。
そして、そういえば生のAUNさんに会えるんじゃん、なんてことに
今更気づき変な緊張をしながらオレは会場となるスイートルームに
足を踏み入れたのだった。