どうも!
管理人のゲソです。
今回は中編を書かせて頂きました。!
前編では、到着して間もなく情報収集で転けまくり、どうしようどうしようとあたふたしまくってましたね(笑) めちゃくちゃ焦ってたのは今でも覚えてます(笑)
当時を思い返すと、宮古島での経験は、社会人になって様々なところで活きていると思います。
釣りの知識もそうですが、物事の捉え方、人間関係の構築、あらゆる所に活きているし、もっと違うところでも、活さなければならないと日々思います。
これ以上話すと、止まらずネタバレしてしまいそうなので、ココマデ!
では中編、どうぞ!
⑧2日目 夕方 「本当に?」
Kさんと別れたあと、ホテルに戻り昼食をとった。作り置きしていたカレーだ。1日置くだけでこれほど味が変わるのかと感動していた。でも、美味さの秘訣は1日置いたことよりも、自分が作ったからなんだろう。
食事を終え、早速Kさんに紹介してもらったポイントへ。
※Kさんは、夕方は別のポイントで釣りをするそうだ。ちなみにそこは私がポイントの下見をした時に、魚の気配がなく、選択肢から外した漁港だった。
「今日はここで日没まで粘ろう」
しかし、どんなルアーを投げても、どんなアクションをしても食ってこず、魚の気配も無い。
「ここもダメかァ」と思いながら、
夜も深くなってきたところで、納竿。
ガーラの姿を拝める気がしない。
前回の沖縄遠征が1週間だったため、実質9日連続の坊主。
いつ釣れるんだ、、、と途方に暮れながら帰り道を歩く。
ホテルに戻り、食事の準備をしていたところに、
携帯が鳴った。Kさんだ。
Kさん「お疲れ様、今日はありがとう。そっちどうだった?」
私「いやぁ、こっちはダメでした...明日はどうしようかなぁ...」
Kさん「そっかあ、そこでダメか。ちなみにさっきこっちでかなりでかい魚のボイルが起きた。多分ガーラだと思う。」
私「え?」
Kさん「だいぶ暗い時間に出たから、びっくりした笑 あと夕方、一投目ででかいヤツかけたら、そいつ跳ねてスナップ破壊されたわ(笑) 」
後にゲソは、魚の正体を知ることになる
私「....え?そのポイントって魚居るんですか...?」
Kさん「何を言うてるさ!笑 僕らのホームよここ!笑 いるいるー! 」
【魚がいないと思っていたところに、魚はいた】
その時点で自分の実力不足と、情けなさを痛感した。なにをしてるんだと。
私「Kさん、本当にありがとうございます。明日からそこに通ってみます」
有益な情報を頂けた。明日こそは釣れるだろうと意気込み、眠りについた。
⑨3日目 朝から昼 「第2のそこ」
朝マズメ、いつも通りファミマでパンを買い、釣り場へ。
釣り人は一人もいない。
魚の気配も全くない。
本当にこんな場所に魚はいるのか...?
夜が開ける前からルアーを投げる、とにかく投げる。
投げないと始まらないのだから。
しかし、朝マズメは一瞬にして終わった。
ボイルもナブラもなにもなかった。
ファミマのパンを食いながら、Kさんに連絡する。
私「全然ダメです...下手くそすぎます...」
Kさん「仕方ないさ、回遊魚だもん。回ってないと思うしかない」
私「でも...」
Kさん「よし分かった。今日の昼、また別のポイント紹介するから。この辺り来てくれる?」
そう言われて指定された場所は、携帯のマップ上では木々しか映されておらず、インターネットにも詳しく取り上げられていない場所だった。
その後、Kさんと合流。
Kさん「おつかれ!ダメだったかー」
私「全然です...なにをしたらよいかわからないです...」
Kさん「沖縄は釣れると思って本土から、たくさんの人たちが来るけど、そんな簡単じゃないさー(笑) 毎日こんなもんよ笑」
と慰めてくれながら、"第2のそこ"に到着した。
木々の中に、一つだけ小さな穴があった。
Kさん「ここ」
その穴は、以前のものよりも小さい、成人男性が前屈みになってやっと入れるようなサイズ。
身体中が蜘蛛の巣まみれになりそう。インディージョーンズしか入らないと思わないだろう雰囲気が漂う。
私「これどこに繋がるんですか(笑)」
Kさん「まあ、行ってみてのお楽しみさ」
Kさんは慣れた足でドカドカ進んで行くが、私は着いていくので精一杯だった。
よく分からない植物が生えてるし、よく分からない動物の鳴き声もするし、不安でしか無かった。
約10分ほど歩くと
足元は突然磯場になり、またここでも目を疑う景色が広がっていた。
Kさん「もちろん観光客なんて居ない。自分だけが知ってる秘密基地みたいな感じ?笑 ワクワクするよね。」
私はただ言葉を失い、立ち尽くしていた。
まるで太古から時間が止まっているかのような場所。
あまりの景色の壮大さに、ボーっと立ち止まってると、
Kさん「なにしてんの!早くしないとおれの昼休み無くなっちまうから!」
私「(仕事中にわざわざ来てくれたの!?)ああ!ごめんなさい!」
結局この時もKさんがイシミーバイと小さなエソを釣り、私は何も釣らずに終了。
ガーラはいつになったら釣れるんだよ...(笑)
④3日目 昼 「島のおじーとの出会い」
Kさん「やべっ、昼休み終わる。じゃ帰るわ!また夕方、ホームいくわ!」
そう言って別れたあと、私は別のポイントへ。
そこは事前に地図でチェックしていたポイントだった。ベイト(小魚)が沢山溜まっていたが、湾内になっているため、回遊魚が入る可能性は少なそうだ。
しかし、ものはためし。
ポッパー、ミノー、ジグ、ワーム...と色んなルアーを通す。
しかし、魚から何も反応がない。
これがもはや平常運転になりつつある。
そろそろ場所を変えるかと思い目線を変えると、少し遠くに漁師の網を編む、おじーがいた。
声をかける。
私「こんにちは」
おじー「どーも」
おじーは、にっこりと微笑んでくれた
私「お父さん、ここってガーラ釣れるの?」
おじー「釣れるよ、毎日いる。」
私「え?」
おじー「うん、釣り人は朝来るさ。朝だけガーラが入るさ。この小さい魚を食べにさ。」
私「本当ですか!」
いい情報を得た。
Kさんのホームポイントと、ここと2つ候補を作れた。
おじー「なんや、ガーラ釣りたいんか?道具見せてみ。(私の道具を見る) こりゃあ、カジキが釣れるど(笑) こんなおおきいルアーやなくて、このくらいがいいさ。」
そう私に見せたのは、35gのシンペンだった。
私「いやぁ、でかいガーラ釣りたくて、欲張りました(笑)」
おじー「まあそれでも食うさねー、ガーラは。」
おじーの年齢は80歳 聞いた時はびっくりした。
受け答えもすらすらできるし、腰もほとんど曲がっておらず、杖すらついてない。どれほどお元気なのか。
それから昔の海の話とか、戦争の話とか、
おじーが漁師をしていた時に釣ったどデカいカジキマグロの話とかとか...2人で地べたに座って、全く汚れていない海を見ながら色んな話をした。
気づくと1時間近く経っていた。
私「お父さん、ありがとう。そろそろ釣りに戻るよ。色々と勉強になったし、沖縄のこともっと好きになったよ。」
おじー「お兄ちゃん、最後にこれだけは覚えとくといいさ。
ガーラは粘りの釣り。色んな場所を回って回って簡単に釣ろうと思うと、絶対に釣れない。ひとつのポイントに絞って、信じて辛抱強く待つさ。とにかく待つ待つ待つ。ガーラって面白い魚でさ、苦しい思いをしてる釣り人にだけ来る。」
私「ありがとう、お父さん。絶対に釣るし、釣れたら報告に来るね。」
この時の自分にとって、このおじーが正直何を言ってるのか理解できなかった。
魚釣りなんて、いるとこに行くのがセオリーだの考えていたからだ。
だから、色んなポイントを打って反応を見ることが重要なのではないか。と
しかし、たまたま出会ったおじーのこの教えに助けられることを、ゲソは知らなかった。
⑤3日目 夕方 「Uさんとの出会い」
おじーと別れたあと、
Kさんのホームポイントに来た。
このあとKさんとKさんの友人もくるそうだ。
私「なんも釣れねえ、なんだこれ、、、(笑)」
「おつかれ!」
KさんとKさんの友達だ
Kさん「なんか釣れた?」
私「煽ってますか?(笑)」
Kさん「はよ釣ってくれよ~~~www」
私「うるせぇ(笑)」
Kさんの友達「はじめまして、宮古に2週間も釣りしに来たん?(笑)」
私「あ、はい!(あれなんか関西っぽい発音?)」
Kさんの友達「やばいな(笑)ほんまの釣りアホやん、最高やわ(笑) おれ、U!よろしく。」
私「よろしくお願いします!Uさん、ご出身どちらなんですか?」
Uさん「兵庫!移住してきてん最近。」
私「あーだからか!めちゃくちゃ親近感がありました笑」
Kさん「それは俺とは親近感ないってことか?」
私「ちゃうってwwwwww」
Kさん Uさん「wwwwww」
夕まずめまで3人で釣りをした
Uさんはライトゲームで小型のイケカツオ
Kさんもライトゲームで50upのマゴチを釣った。
私はノーフィッシュ。
Kさん「針にカバー着いてる?」
Uさん「まだまだやなぁ(笑) 」
ぐぅの音も出ないとはこのこと。
3日目も何も無く終わってしまった。
※ちなみに3日目は回鍋肉を作った。クックドゥのすごさと、人類の文明を全身で感じた。
⑥4日目 「最悪の日」
朝マズメはKさんのホームポイントへ。
嫌々ながらも、騙されたと思って、島のおじーに言われたことを実践するため、これからはずっとここで粘ってみようと決めた。
朝ごはんは買っていない。熱中症対策のためにポカリスエットを2本だけ買っていた。
確かこの日、関西は凍るほど寒いと知人から連絡があったが、宮古島ではクーラーをつけていた。なんなら半袖で過ごしていた。頑張れと煽り気味に知人に連絡を返した。
暗くなる前からポッパーで様子見。
しかし一向に魚が出る気配は無い。
なぜ出ない、、、もうそろそろ出ていいだろ、、
毎日朝の4時に起床し、18時までほぼぶっ通しで釣りをしているため、身も心もボロボロ。
魚の当たりがあればまだやる気は出るが、それすらないため、修行のような時間を過ごしていた。
とそこで、ボイルが発生。
沖縄本島で見た時の水しぶきと聞いた音。
間違いないガーラだ。
何度もポッパーを通す。
が、全く食わない。チェイスすらしてこない。
気づけば、ボイルは終わっていた。
またあの時の悪夢がよみがえる。
「あんなん何したら食わせれんねん。」
ここでトップは諦めて、シンペンに変更。
これは昨日のおじーが手に取ったものだった。
そして数投目。
ゴンッ!!!!!!
竿が一気に曲がり、とんでもないスピードを手元に感じた。
私は声を出した。
「ガーラか!?ガーラだろこれ!」
絶対に逃がさんという思いで、とにかく糸を巻き続ける
が、約80m先で跳ねた魚は、針を外し海に帰っていった。
それはKさんのスナップを破壊したやつだった。
そいつの名前は
【唐鰯(レディフィッシュ)】
1mを超える魚で、「オバケイワシ」の異名を持つ。
突然の出来事で理解が追い付かなかった。
長い時間、呆然とただ海の音を聞きながら座っていたことだけは覚えている。
Kさんにこのことを伝えると
「釣れよ~~~~~~(笑) でも惜しいじゃん。もうそこまで魚は来てるから、大丈夫さ」
かなり勇気づけられた。
本命のガーラではないにしろ、この海に魚がいることは間違いない。
夕方まで粘ろうと、昼ごはんは時間短縮のためにマックでドライブスルーをし、釣り場で食べた。
※宮古島にはマックもドンキもある。片側二車線道路も存在する。私が住む奈良よりも断然都会だ。
しかし、粘っても魚の当たりはおろか、ボイルも何もなくその日もノーフィッシュで終了した。
約13時間以上、同じ場所で竿を振り続けた。
あのおじーの言葉を常に思いながら・・・
※ちなみにこの日もカレーを作って食べた。キッチンから何まで汚いのは許してほしい。勿論掃除した。
⑦5日目 「やっと会えたね」
この日も、Kさんのホームポイントへ。
この日はいつもより早起きして、まだ夜明け前の暗いうちから始めることにした。
暗い時間帯に捕食している様子を見たこともそうだが、よく考えれば相手はアジ。
夜に捕食活動をしていてもおかしくないと予想したからだ。
ルアーは昨日反応のあった、おじー直伝のシンペンからスタート。
早速投げようとすると、
ボコん!!!!!
真っ暗闇の中で人が落ちたような捕食音。
間違いない、ガーラだ。
音が鳴る方へ、距離はなんとなくの感覚で投げ、何度もアプローチするが、食わない。
食わないと言うよりルアーを見つけられていないに近い気がしたた
少しずつヤツと距離を近づけていることは間違いない。
あとはとにかく投げて、答えを力業で導くしかない。
結局食わせられないまま、夜が開けてきた。
朝マズメの始まりだ。
空に一瞬目線を変えた途端、聞いた事のない爆撃音とともに、数百メートル先で水柱が上がった。(ここは暗黒大陸か?)
何が起きたか分からなかったが、一瞬特徴的な長いヒレが、その距離でも確認できた。
ガーラだ。
しかもでかい。20キロは優に超えているのではないだろうか。
私「さすがにあのサイズは無理だわ(笑) もっと小さいのでいいから、食ってくれ、、、頼む。」
自分を信じて、朝マズメが終わってもルアーを投げ続ける。
そして、完全に朝マズメは終わり、気温も上がってきて、ウォーキングをする地元民が増えてくる時間帯になった。そろそろお腹が減ったと思っていて、ルアーを回収しようとしたその時
ゴンっっっっっ!!!!!
突然おそった手元への重みと同時に、凄まじく抵抗する魚。
私「いやなんこれ。は。え、めっちゃ引くやん。え、な、なんこれ」
体力も集中力も限界の状況だったが、気力だけで何とかやり取りをした。
当時どのようにやり取りをしていたかは覚えてない。とにかくバレないでくれとだけ願っていた事は覚えている。
数分やり取りをして浮いてきた。
銀色に輝き、戦闘機のようなヒレを持つ魚体
ガーラだった。
しかも、ずっと追いかけ続けてきた
ロウニンアジだった。
サイズは50cmの超小型だったが、「え。こんな引くのに、このサイズなん。」となった。
※ちなみにこれは沖縄あるあるだそうだ。
連日の釣りの疲れと暑さから、頭はぼーっとしていた。
釣り人憧れの魚をいま目の当たりにしていることが現実だと、理解するのにしばらく時間がかかった。
少しずつ現実を理解してきた途端、膝から崩れ落ちた。
何故か立ってられなくなった。足がガクガク震えた。
気づけば ただただ泣いていた。
周りの目を気にせず、声を出してひたすら泣いた。
177cm 75キロの男が突然竿を持って、目の前のよく分からない魚を見て、泣き崩れるその姿は、ランニングをしていた現地のおじさまおばさまの目に止まっただろう。しかし、全く気にしなかった気持ちが落ち着くまでずっと泣いていた。
釣り人の憧れ
そう称される理由が、このサイズでもわかった気がした。
遠回りは一番の近道
という言葉は有名だが、おじーの言葉はまさにその事だと理解した。
さらに、Kさんとも出会っていなければあの場所でおそらく魚釣りはしていなかったと思う。
まさに2人は運命の出会いだった。
1人の釣り人として、目標を達成した嬉しさもあったが、
これから大学を卒業して、人生を歩んでいく上で、覚えておくべき大事なことを、この魚から教わった気がした。
その時、たまたまKさんがきた。
僕があまりにも釣らないので、朝から色んな場所に情報収集しに、回ってくれていたそうだ。
なんていい人なんだ。
私「何とか釣れました」
Kさん「なんか釣ってたね笑 遠くから見えたわ、寝転がってんのも。ひとまず目標達成できて、俺も嬉しい(笑)あと残りの日数なに狙うの、9日も残ってるよ(笑)」
私「確かに(笑) もっとでかいの狙いますけど、ちょっと疲れたんでホテル戻って寝ます...笑」
Kさん「そうだね。ゆっくりしてくるといいさ。おめでとう。」
すぐホテルに戻り、シャワーを浴び、服を着替えてテレビを眺めていると、いつの間にか爆睡していて、目が覚めると夕方だった。相当疲れていたんだろう。夕食の準備と明日の買い出しに行き、5日目は終了した。
※ガーラはブツ切りにして食べました。疲労回復に聞きすぎて、前日まで栄養ドリンクにでも漬けていたのかと勘違いをする程でした。
海なし県民の離島釣りバカ日誌 第2話 in 宮古島 中
編 ~完~