シェーグレン症候群の影響で

視力が著しく悪い父は

ボヤ〜ッとしか見えない状態で

勘で生活しているので

何かと弊害が起こっている。




急に寒くなってきた日。


父「腹巻余ってるん無いか?」

私「去年何枚か買ったやん、無いの?」

父「太ったんか合わんのじゃ」

私「合わなくなるほど太って無いやろ」

父「ほら!これ!」


私「……それ、ネックウォーマーや……」

父「……え?」

私「首に巻くやつやで」




そりゃ合わんよ。

子供でも厳しいよ。

しかも全然伸びない素材のやつ。


その後の父は

腹巻だと思ってたネックウォーマーを

頭から被ったり脱いだりして

1人でクスクス笑い続けてた。


筒状の布は全て腹巻に見えるのか?

いや、見えてないけど。

見えたとて間違えるかもだけど。




私は今少し仕事をしているので

昼間は父を放ったらかし。


作り置きのおかずを冷蔵庫に入れて

順番に取って温めれば食べられるように

綺麗に並べて保存している。


私の指示通り

順番に取って食べてくれているようだが

仕事終わりに父の元へ行くと

必ず同じ事を言われる。




「今日ワシは何食べたんや?

 何食ったんか分からん。

 焼きそばか?そうめんか?」


「それは春雨サラダやで

 マヨネーズで和えたんだけど……

 ソースも麺つゆも使ってないけど……

 あれを主食として食べたん?」


「麺料理やと思ったから温めて食べた」




温めたマヨネーズ味の春雨サラダ……

焼きそばかそうめんだと思って食べたなら

訳のわからない味だっただろう……


毎日が闇鍋状態。




そんな状態なのに

昼間は1人で散歩に出かけちゃうから

転んで通りすがりの人に助けられたり

疲れて帰れなくなってお迎え要請がきたり。


近所のお店で買い物するのはいいけど

よく見えないまま商品を手に取るから

これ買ってどうするの?って食品が

冷蔵庫に詰め込まれている事が良くある。




1人でウロウロするな!危ない!

って言っても聞いてくれないし。


お金の無駄遣いもやめて欲しいけど

どこまで叱れば良いのかもよく分からない。

叱ったとて金遣いは変わらなかったし。


怒りっぽい年寄りじゃ無い事だけは救い。

可愛い歳の取り方は私も目指すところ。