カナダの北東部...そのもっと北...
ハドソン湾に隣接してジェイムス湾がある...
そこにたどり着くには...何度も飛行機を乗継ぎ...
まるでウロコのようにひらひらと光る湖沼地帯...
数え切れない水の反射...それを越えて地上の果てなき道を行く...
クリーの言葉は絵文字のようにかわいらしい...
曇って降ってまた曇って...そしてたたきつける大粒の豪雨...
めまぐるしい天候...でも...
暗い黒い雲を割るように...突然の晴間...
しかし...雨は降ったまま...それがプリズムスクリーンになって...
あっ...虹が...二重の虹が...

強い雨が虹の橋を溶かしたり歪ませたり...
晴間は遠ざかったり近づいたり...
黒雲を振りきるように僕らの車は進む...

ずっと見せていておくれ!...君の美しい七色の夢...
虹の在処(ありか)...虹のあふれ出る井戸はそこか!

でも...さっと広がった虹を妬むように...
掴みかからんばかりの濁流のような雨は...
機関銃のような音とともにひたひたと後から呑み込んでゆく...


虹が...ほとんど薄墨で黒くにじんで見えなくなってゆく...
そして陽も傾きかけた頃...黒雲の縁が緩んで青空が見えてきた...


もう虹を生み出す余力は残ってなかった...
でも青空の下の隅..."橙"(だいだい)の松明(たいまつ)を残してくれている...


照度が落ちて...暗くなる...
それでもまだまだ大空のシアターは終わらない...
火を囲んで空を見る夜...
晴れた夜空に星々がおしくらまんじゅう!
もしかしてオーロラが見えるかもしれない...


夜が深くなってきた...そして...
雲がどんどん流れてきて滞留して...


あぁとうとう朝まで雲は晴れなかった...






















