戦後レジームを強化する安倍政権 | 『月刊日本』編集部ブログ

『月刊日本』編集部ブログ

日本の自立と再生をめざす言論誌

 弊誌7月号は本日22日より店頭販売を開始しております。

 今月号では「戦後レジームを強化する安倍政権」と題する特集を組みました。安倍総理はかつて「戦後レジームからの脱却」を掲げていました。戦後レジームからの脱却とは、アメリカからの独立を意味するはずです。しかし、安倍総理が実際に行っていることは、集団的自衛権の解釈改憲や日米ガイドラインの改正など、アメリカへの従属を強化する政策ばかりです。仮に安倍総理が主観的には対米自立を目指して動いているとしても、結果として対米従属を強めていることは否定できません。

 なぜこのような事態が生じてしまうのか。神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏は、それは安倍総理が「戦争ができる国になれば国家主権は回復されたと同じである」と考えているからだと指摘しています。最近の安倍総理の形振り構わない対応を見ていると、説得力のある指摘だと思います。

 しかし、これはかなり奇妙な理屈です。戦争ができる国になるために集団的自衛権の解釈改憲などを行っても、対米従属が強まるだけで、国家主権を回復することはできません。これは要するに、「戦争ができる国=主権国家」という等式自体が間違っているということです。

 安倍総理の対米従属振りは先の訪米にも表れています。安倍総理はアメリカ議会で英語で演説を行いました。評論家の佐高信氏は、頼まれもしないのに英語で演説するなど、実質的にアメリカの植民地になったのと一緒だと批判しています。言語とは文化の根本であり、思想の根本です。仮にも戦争した相手国の議会で相手国の言葉で演説し、それに屈従を感じないようであれば、とてもナショナリストとは言えないでしょう。

 何が何でも日本を戦争ができる国にしようとすれば、当然無理が出てきます。元内閣官房副長官補の栁澤協二氏が朝日新聞で「戦闘を行っている部隊の指揮下に入ることになれば、輸送を中断するわけにはいかない」と指摘したことが国会で取り上げられたところ、安倍総理は「栁澤さんは重大な間違いを犯している。自衛隊が輸送先の部隊の指揮下に入ることはない。栁澤さんはなんでこんな初歩的なことをわからずに、べらべらしゃべっているのか」と反論しました。

 これに対して、栁澤氏は「初歩的なことがわかっていないのは安倍総理の方だ」と再反論しています。輸送作戦は前線部隊の都合に合わせるので、その統制下に入らなければ任務をすることはできません。これはお互いに敵と勘違いして撃ち合うことを避けるためでもあります。また、安倍総理は危険になったら退避すると言っていますが、前線を見捨てて退避することなど不可能です。栁澤氏はこのように批判しています。

 まだ長くなりそうなので今回はここまでにします。次回も7月号の内容紹介をしたいと思います。(YN)





にほんブログ村 政治ブログへ