農業大国ニッポン | BOSSの独り言

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月刊BOSS編集長・関慎夫がつづるインサイドニュース・ブログ

今年の経済政策の「骨太の方針」が決まりました。その内容については、今日の新聞各紙が報じていますから割愛しますが、ほとんどの識者が、あまり評価をしていないようです。小泉政権時には、経済財政諮問会議が政策決定の中心として機能していたのに対し、安倍政権では自民党や官僚の巻き返しもあり、経済財政諮問会議が弱体化しているのが、この骨太方針からも見てとれます。

それはともかく、最近思うのは、日本はなぜ、もっと農業政策に力を入れないんでしょうね。骨太の方針でも、「国内農林水産業の体質強化の進捗に留意」程度にしか触れられていません。

安全保障のことを考えれば、現在40%の食糧自給率を高めていかなければならないのは自明の理。ところがどう考えても、そうするための政策は打ち出していません。むしろ、諸外国から責められて、より自給率を低める方向へ向かっています。

そのためには、世界の中で日本の農産物が競争力を保てるような政策として推進するべきです。これまで国内農業保護とは、実は農家の保護でした。それでは結局、補助金のばら撒きということになってしまいます。そうではなく、純粋に農業を保護するための政策が必要なのです。集約化、大規模化、工業化など、製造業で培った日本の生産技術を駆使すれば、必ず国際競争力のある農作物をつくることができるようになるはずです。

すでにトヨタでは、燃料生産の目的で、東南アジアで芋の生産に取り組んでいます。メーカーに農業を任せることで、生産性は劇的に上がる可能性があるのです。

これからの国際社会では、エネルギーと食糧を持たない国は、発言力を持ちようがありません。いま始めなければ、日本はそのうち存在感のない、アジアの小国に成り下がってしまうのです。