本公演で照明トップを務めます、桑原杏弥です。2年代です。1から2になっただけで大きな違いを感じますね。

 

セクションを代表して書くわけなので、照明というセクションのイメージを感触だけでも掴んで貰いたいです。でも実のところ、自分は照明を初めて1年と経っていませんし、今回が初トップです。照明の酸いも甘いもまだ知らないのかもしれない人間です。だから何が書けるのだろうかと思ってしまいます。

 

でも、演劇未経験の自分が気づけば“トップ”という役割を(ちゃんと担えるのかどうかは公演が終わってからでないとわからないというのは置いておいて)担うまでになってしまうほど、照明というセクションに人を惹きつけるものがあるということは事実です。だから、なんで照明を選んだんだろうかとか、自分なりに照明に対して思っていることを書こうと思います。

 

(撮影:唯乃マド様)

 

良い写真ですよね。これは公演と公演の合間に行われた照明のWSの様子です。写っている人たちは照明班です。灯体がちゃんとついているかのチェック中です。きれいな明かりの下で、せっせと動き回ります。

 

照明というセクションは、舞台に乗っているものはきれいで、きれいすぎて気付かなかったりするものですが、その前準備は大変です。体力も必要だし、時間もかかります。公演が行われる本番週はずっとアトリエにいます。ただ、その大変な工程が必須とされるのが照明というセクションであり、照明という表現なのだと感じます。

 

今回初めて“トップ”という照明班全体をまとめる役割を担っているわけですが、一番と言っていいほど大変なのが、どうやったら仕事がつつがなく回るかを考えることです。一人だけで何十台もの灯体は吊れないので、補佐の方たちを含めた“照明班”というまとまりがスムーズに動くことが必要です。そのためにトップは準備を怠ってはいけないし、補佐もそれに応えて素早く仕事をしていきます。イメージのなかでの会社の上司と部下的なチームワークに近いものがあります。

 

その分、照明班は他のセクションと比べてまとまりがあります。自分が照明を選んだ理由に、そのまとまりかたが居心地が良かったからというのがあると思います。

 

(2023年度新人公演時の照明班)

 

 

プランについて書きます。プランというのは、ざっくり言えばいつどこにどうやって照明をつけるのかを全て決めることです。劇場のなかの光を全て操ります。自分の思う良いプランとは、それまで作りあげられてきた作品(になりかけのもの)を観客に良い形で届けられるものです。少なくともストレスが無いように。何が良い形なのかは演出家によって変わるとは思いますが、とにかくとても演出に近い役割を担っています。

 

 

これが灯体です。役者にとっての身体、脚本家にとっての言葉が、照明にとっての灯体です。この写真のように黒くて重いものもあれば、軽くて色んな色に変化するやつもあります。ムービングという動くやつもあります。彼らの特徴を知って、彼らを上手く使いこなせるようになるとできることが増えてきます。

 

そう、できることが増えるという楽しみが照明にはあります。灯体達を動かすのは大変で、なかなか思うように動いてくれません。灯体を動かすにはデータを打ち込まなければいけないのですが、灯体ないしは暗闇のなかでの光が持つ力というのは想像以上です。データを少し打ち込むと、すぐに自分の手を離れて動き出してしまいます。お互いに打ち消しあって思ったように色が出なかったり、光の当たる範囲が広すぎたり狭すぎたりします。光自体について知ることが必要です。その上で上手く手綱を引いて、計算づくで操らなければいけません。

 

でも上手く操れたときは快感です。何回もその瞬間をなぞってしまいます。そんな風にしてはまっていくのかもしれません。

 

大きくいえば、自分の身体とか言葉では表現できないことを実現してくれるのが灯体であり光なんじゃないかなあと思います。

 

そろそろ終わりに向かいます。

 

せまりくる本公演を前に、かなりの重圧を(勝手に)感じてます。最後に作品に関わるセクションだからこそ、良い方にも悪い方にも左右できます。考えても考えすぎることはありません。

 

ただ、自分のできることは限られていると思えば気は楽になります。照明班は一人ではまわらないですし、照明が全てを説明する必要はありません。役者と他セクションの仕事を生かせるような明かりを作ろうという気持ちでいます(それはそれで大変だということが最近わかってきたのですが)。

 

作ることに誠意を欠かすことのない木霊の人達と、一緒に何かを作れるなんて本当はそれだけで楽しいことのはずです。悩みつつ、楽しみつつが理想的です。

 

『飛行』、どんな公演になるのでしょうか。楽しみですね!

 

それでは最後に、最近はまったVaundyの「不可幸力」をどうぞ!

 

 

【ご予約】(桑原杏弥扱い)

 

 

劇団木霊2024年本公演
『飛行』

主宰・演出|ひラのカほ
主宰補佐|西岡優成
脚本|萌葱もか

日時|
5月23日(木)19:00〜
5月24日(金)19:00〜
5月25日(土)13:00〜/18:00〜
5月26日(日)13:00〜/18:00〜

料金|無料(フリーカンパ制)

会場|早稲田大学大隈講堂裏 劇団木霊アトリエ

特設Webサイト|https://hikou2024.studio.site

お問い合わせ|gekidankodama.2024.05@gmail.com



主宰・演出|ひラのカほ
主宰補佐|西岡優成
脚本|萌葱もか

出演|あべこ うりのつる 神崎玲那 須貝文音 乘峯志保 春名高歩 町田悠介

企画監査|工藤英翔

稽古場代役|赤城奈佑

演出補佐|翠 きよすけ 桑原杏弥 兼生 鈴木萌花 栖田ひまり 創 

舞台監督|佐野史奈
舞台監督補佐|赤城奈佑 酒井悠真

音響・音響操作|らノ
音響プラン|琇
音響補佐|遠藤大希 鯉 ホシダマサオミ 鳥塚隼人[早稲⽥⼤学演劇研究会]
楽曲|ホシダマサオミ

照明 |桑原杏弥
照明操作|林怜奈
照明補佐|翠 木下みのり こむぎ 唯乃マド 傍見秋 まさはる

舞台美術|こむぎ
舞台美術補佐|酒井悠真 創 傍見秋 本庄史奈 まさはる

衣装|栖田ひまり
衣装プラン協力|タベイコウダイ
衣装補佐|北澤栞 タベイコウダイ トラツグミ

制作|はな
制作補佐|阿部綾 遠藤大希 木下みのり タベイコウダイ 本庄史奈

宣伝美術 |園部綾香
宣伝美術補佐|工藤英翔 唯乃マド 林怜奈

web|北澤栞
web補佐|工藤英翔

撮影|唯乃マド