こんにちは、公演本番が近づいてまいりましたね。

前回で最終回を迎えたスタッフブログ。

 

ちょっと待って!!!

 

まだ小道具の説明していなくない?

いくら担当者が間に合わなかったからって、そりゃないよ…

というわけで、今回は小道具のお仕事を紹介します!

 

小道具の仕事内容

1)脚本を読んで必要なモノを書き出す。

2)貸出、購入、制作といった手段で用意する。

3)本番前などに正しい位置にあるか確認し、公演終了まできちんと管理する。

 

以上!!!

 

たったこれだけ。特別なことなし。ぶっちゃけ誰でもできる。

そんなシンプルな仕事だからこそ難しくもありやりがいもあるのです。

知れば知るほど奥が深い、小道具の魅力をお伝えします。

 

題して

「リアルならいいってもんじゃない〜小道具と演出〜」

 

小道具は作風に合わせて、主に三つの方向性で決まります。

 

本物あるいは限りなくリアルな製作物を用意する

 

(2019年度本公演『Beautiful World』)

 

小道具の見た目や使用感というのは観客がその世界に入り込むだけでなく、役者が気持ちを入れて演技するためにも大切。

この作品は喫茶店を舞台としており、写真のミルやドリッパー、ドリップケトル、瓶の中のコーヒー豆も本物を使用しました。

ミルを回す音や振動、コーヒーの匂いなど、五感を刺激し演技に彩りを添えるのが小道具です。

 

(2018年度外語祭公演『壊れた風景』)

 

学園祭では講義棟に食べ物を持ち込んではいけないので、本物を使えば楽なものを、わざわざサンプルを用意。

みかんやハムは手作り!安い粘土で案外簡単にそっくりなものができるんですね。

 

敢えて違うものあるいはクオリティの低い製作物を用意する

 

(2016年度卒業公演『日本の大人』)

 

分かりにくい写真ですみませんが💦このシーンは大人になった主人公たちの居酒屋シーンで、わざと子供用のプラスチックコップを使用しています。

他にも電話は安物のおもちゃなど、大人が使うものほど子供っぽくしています。

その狙いは「大人と子供、舞台と客席、上演中とそれ以外を曖昧にする」こと。身長計を模した椅子もご好評をいただきました👏

 

(2016年度本公演『(前衛的な、あまりに前衛的な)僕たちの演劇は、はじまらない』)

 

携帯電話を使うシーンで何故か割り箸を使用。

オチから言ってしまえば「今までに起こったことを即興で劇にする」というもの。この後携帯電話を粉砕するシーンがあるのですが、既に現実世界で壊してしまったので劇ではたまたま手元にあった割り箸をとっさに利用したのです。

小道具でも張れる伏線。

 

身振りで表現する

 

筆者が観たある作品では、コーヒーを飲むマイムをし「好きな人がいるんでしょ」といわれるとカップを放り投げて「違うよ!」と否定する演技がありました。

(Wキャスト作品で、もう一人の役者さんは放り投げる演技はしていませんでした。)

これはマイムだからこそ実現でき、ギャグとしても笑える演技ですよね。その代わり役者のアドリブ力とエンターテインメント性も要します。

「柿喰う客」さんのスタイリッシュと称される演技スタイルも、小道具を全て身振りに代用することで高いパフォーマン性を実現していますし。

 

(2016年度演劇祭『家族』演目『新噺』(ラーメンズ))

 

落語も身ぶりによるところが大きいですよね。

 

 

 

その他にも

 

 

(2016年度新人公演『ネイム』)

 

時間経過を表したり

 

 

 

(『Beautiful World』)

 

物が壊れる様子を工夫したり

 

(2018年度新人公演『スウィートホームソースウィート』)

 

ベタなボケかましたり(エ○本のカモフラージュだなんて言えない)

 

小道具使いを一つ工夫するだけで作品がとても表情豊かになるんです。

 

そしてウラ中のウラ話。お客様から「素敵!」と言われることはそんなに無い

むしろ粗が目立つことの方が多かったり。筆者のセンスがないだけということもありますが。

 

(『ネイム』)

 

「太陽と月はもっとインパクトがあっても良いと思います。」というご意見をいただきましたが確かに

製作途中で「もっと大きく」「いやまだ足りないな」と思いながら作ったもんで、どんどん大きくなっていきましたが手に持ってみるのと舞台に飾るのでは全然印象が違います。

実は結構難しい小道具の見え方・選び方。やってみるほどにわからないことは増え、舞台で効果的な役割を模索するも答えは見えず。

かといって主張しすぎては作品全体のバランスを崩してしまいます。あくまでビジュアル面・演技における補助なのですから。

 

だからこそ、小道具を効果的に使えている作品はそれだけでも高クオリティと言って良いはず!

皆さんも次から舞台を観る際は、小道具の扱いにもっと注目してみてくださいね~。

 

 

 

卒業公演でも「見えるモノ」「見えにくいモノ」に手間ひまかけました。

どんな手間かは本番を観てからのお楽しみに!!

 

 

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2019年度 劇団ダダン卒業公演

「あの日の向こう側」

 

 

 

救われる気持ちと 救いきれないモノ

 

 

 

▼作=清水美里

▼演出=山岸栞理

▼出演=内田美友、四條咲季、辻本雄大、栗原優奈、吉田谷美稀、齋藤諒平、湯島染乃、清水美里

 

 

▼場所=阿佐ヶ谷アルシェ

 

 

▼上演日程

2月7日(金) 19:00〜

2月8日(土) 13:00〜/ 19:00〜

2月9日(日) 13:00〜/16:00〜

※開場は開演の30分前になります。

 

 

▼料金

一般:前売1000円、当日1200円

学生:前売800円、当日1000円(要学生証)

東京外大生:前売700円、当日900円(要学生証)

 

 

▼チケット予約

https://stage.corich.jp/stage/105046