「彼女が愛した、あなたにあいたい」
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海に面した研究所。片隅にある小さなラボには教授がひとり。30年前に絶滅したシーラカンスを探している。
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「生きた化石」と周囲から揶揄される教授を「博士」と呼び慕う事務員がひとり。彼女は「博士」に恋をしている。
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マイペースな「博士」を嫌う助教授がひとり。非協力的な同僚にも、無理解な家族にも。彼女は酷く苛立っている。
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そんな彼らを好奇の目で見つめる医師がひとり。助教授に取り入り、事務員を懐柔し、彼はその先を待っている。
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そしてインターホンが鳴り、時間はゆっくりと流れ出す。