ナノデワ男さんが買ってきてくれた「甲斐バンド・ストーリーII」は、とんでもない「お年玉」だった。しばらく前にリリースされた、「シングルズ」、「シングルズ2」、「30年記念ベスト」に食指は動かなかったけれども、今回のベスト盤はジャケットはレタリング部をのぞいて、1979年春に発売された「甲斐バンド・ストーリー」と寸部も違わないのに、タイトルは「II」。
「これは絶対に何かあるな」という僕の見立ては、間違っていなかった。
まずはいきなり、「HERO」のドラムが29年間の「ドゥッタタ、ドゥッタタ」ではないことにビックリした。
「かりそめのスウィング」の冒頭カウントはジョン・レノンの新生「ビー・パップ・ア・ルーラ」の衝撃を凌駕し、「ビューティフル・エネルギー」に至っては僕は猛烈に驚いた。
「エネルギー」は1980年春に化粧品のコマーシャルソングとして発表され、また、リードボーカルが作曲担当のドラムの松藤、フロントマンの甲斐がバックコーラスにまわったことでもファンのあいだで話題を呼んだ曲。
それが「II」では、甲斐のソロバージョンをかぶせたかなんかして、松藤と甲斐のダブルボーカルに仕上がっている。(動画ではツインになってないけど)
慌てふためいてシュアーのヘッドフォンをオーディオセットに挿しこんでみると、「オリジナル」との違いはさらに明確になった。
これが2001年スーパーリマスタリングにはできなかった、リミックス&2007年最新デジタルリマスタリングなのか。
もちろん、ビートルズの「Love」 に代表される「デジタルリマスタリング、リミックスはオリジナルへの冒涜、過去の遺産のクイツブシ」といった一部の解釈を僕も否定しない。
が、僕がなぜ、「ストーリーII」に猛烈に感動しているのかというと、それは「音がクリアになった」とかではなく、どれが初恋でどれが失恋なのかも判らなかった中・高校生時代に、「哀しき恋の結末に」などと恥も外聞もなく人前で先輩や友人 たちと演奏していた大昔の楽曲の数々を、原作者の甲斐当人が現代のモノとして整えなおしたから。
というオセンチな理由に他ならない。
本当は僕は「メモリーグラス」を担当させてもらいたかったのだけれど先輩との力関係に敗れて、「エネルギー」を歌わさせられた。
高校時代の3年間で、少なくとも8回は人前で歌った曲なので、場を盛り上げなくてはならない歌詞のラスト3行で露骨な息継ぎをしない特訓のため、ウォークマンが高価だった時代にシングルレコードをどれほど聴きこんだかわからない。
さらには、訪問先の学校の合唱部女子がコーラスに加わるときいた時にはどれほど舞い上がったものだったか。
「ストーリーII」を前にして、4年前に買って数回弾いたままのオベーションを2008年は有意義に活用してみようかな、という気分にもなってくる。
「コレは「ストーリー」とはまったく別物の、甲斐バンドの「ニューアルバム」である」とは言いすぎだと思うけれど、少なくとも向こう半年は、iPodではなくCDで聴きたいアルバムですね。
- 甲斐バンド
- 甲斐バンド・ストーリーII
- 2007年12月発表
- ■収録曲
- 01. HERO(Remix)
- 02. 翼あるもの(Remix)
- 03. 氷のくちびる(Remix)
- 04. きんぽうげ(Remix)
- 05. 安奈(Remix)
- 06. 裏切りの街角 (Remix)
- 07. ビューティフル・エネルギー(Remix)
- 08. ホップコーンをほおばって(Remix)
- 09. 感触(タッチ)(Remix)
- 10. かりそめのスウィング (Remix)
- 11. 漂泊者(アウトロー)(Remix)
- 12. テレフォン・ノイローゼ(Remix)
- 13. 地下室のメロディー(Remix)
- 14. BLUE LETTER
- 15. 観覧車’82
- 16. ナイト・ウェイヴ
- 17. シーズン
- 18. 破れたハートを売り物に
