その阿鼻叫喚な空気の増大に、僕は「すわ! テロルか!?」と震撼しかけた。
しかしながら、その真相は、暴風雨による一斉停電でモール内の全エスカレーターがストップして、下りエスカに乗っていた方々が総じて人間ドミノと化してしまったらしい。
「ほっとけ、ほっとけ」という心の声とはウラハラに僕はMacショップの店員さんらを呼び出し、重度に身動きが制限されてる人々を再自由化することに苦労した。
エスカレーターには、エレベーターのような停電時はスローダウンで乗降者の身を守る安全機能がないのか、あっても作動しなかったのか、作動しても無防備習性のタイ人が転げ落ちてしまったのか、とにかく、負傷者は一人や二人ではなかったはずだ。
なのに、電気が戻ると、ナニゴトもなかったかのように、グランドフロアでは携帯電話端末ディーラー主催のハダカ踊りモドキ大会(写真)が続行されていました。
バンコクでは、とくに混雑時でもないのに、駅やショッピングビルのエスカレーターで見ず知らずの人間にピッタリと真後ろにつかれたり、始発駅のガラガラの電車内で見ず知らずの人間にピッタリと真横に座られたりして、ヒヤリとすることがある。
かといって、タイ社会、タイ人は車間距離、人体間距離をとる概念が著しく低い傾向にあるので、たいがいのピッタリ密着タイ人には他意はない、と思います。
また、そのエリアの民度の高低にもよりますが、高層ビルの中には、他に何機もエレベーターがあるにもかかわらず、重量オーバーの警告音が鳴り響いても、「大丈 夫、大丈夫、乗っちゃおう」と乗り込み、先客も「どうぞ、どうぞ」と招き入れる、エレベが密閉オシクラ饅頭状態と化すことは珍しくない。
僕はこうした「今、そこにある危機」の自己防衛策を以前からフィンキラさんと討論していたものですが、昨年、似たようなエスカ事故に巻き込まれて以来、タイ人の人波にはさらに慎重になった。
その時はエスカが急停止したのではなく、ある人間がエスカを降りたその場で立ち止まったので、よそみをしていた後続の人々が次々と将棋倒しとなって、当時二体不満足だった僕はそれを跳躍することも後方退避することもできず、ミジメにも将棋のコマになってしまったものです。