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大学関係者が22日18時より、高級ショッピングモール「サイアムパラゴン」前で政治集会を開催することを発表。
日本大使館からは「近づかないように」とのお達しがあったものの、僕は近場に用事があったため、サイアム駅の構内から集会の日和見をキメこもうとした。
が、軍部からの警告(写真上)で集会は開催直前に中止(写真下)となり、30人規模の「座り込み抗議」にとどまった。
サイアムパラゴン前には平時でも座り込んでいるタイ人さんたちがたくさんいるので、「座り込み抗議」の訴求度は限りなくゼロ状態だった。
日本の主要報道機関はバンコクに特派員事務所を置いているけれど、現在は古館伊知郎の横でニコニコしている阪神タイガースファンの加藤千洋さんはバンコクのアジア総局長を2年間つとめていたことがある。
僕が謙虚に耳を傾けた新聞人は加藤さんが最後だけど、今回は「読売新聞」の太田氏が紙面で、タイのクーデターの歴史と今後の予測にふれているので、興味のあるかたはそちらを読まれてください。
が、インターネットニュース の中には、「【タイ】クーデターを84%支持、政情好転に期待 」といった報道もあった。
「そういう声もある」程度ならよいけれど、タイ国民6,000万人中2,000人ちょっとのデータがいかほどの主張を持つのか、僕は大いに疑問だったし、こういう手合いの調査は、大学生が駅やバス停で道行く人に声をかけているだけのものであり、バスや電車を利用しない社会層や、熱狂的にタクシンを支持した農村部の意見は反映されていない。
しかし、僕の友人の知り合いらしいのだが、かつてタイ・カンボジア・日本を往来していた「初のNGO出身」の国会議員
(旧職)ですらも「84%」に耳目を奪われ、日本とタイの首相交替の類似性を探索している。
また、日本人(とここでは限定して話を進めますが)は総体的に「軍部」「軍人」「兵士」といった存在、活字に対してイクバクくかの抵抗感があるから、「クーデター」「非常事態宣言」「戒厳令」という語感に戦慄するのは当然にしても、その衝撃を緩和させる意味合いなのか、数ある個人ブログならともかく、自称「社会の公器」が「一般市民が兵士に花束」「兵士たちは記念撮影に応じていた」と言及していた。
ローリング・ストーンズが「メイド・イン・ザ・シェイド」と「メタモーフォーシズ」を同日発売した1975年、毛沢東主義を踏襲したクメールルージュによるプノンペン陥落時に「朝日」(だったと思いますが)が「政権交代は平和裏に行われ、一般市民は新政府軍を拍手喝采で歓迎した」みたいなことを書いてしまい、後にポルポト圧政が明るみに出て世のヒンシュクを買ったことを、忘れてしまったのか。
僕は「戒厳令のヒリヒリした様子を伝えてくれ」とは思わないし、実際にヒリヒリしていたのは夜明けまでだったけれど、かといって、「国民が支持」だとか「花束贈呈」だとか「記念撮影」は何の意味も持たないどころか、「タイは微笑みの国」を信じてやまない人たちに余計なカンチガイ、誤解を与えるだけなのだ。
「そんなバカはいねえだろうよ」と僕は思っていたけれど、現実には、とくに外国情報などは、オノレの目よりも「グーグル検索」などを信条としている人々が少なからずいる。
ヘルメットを四、五回コ突いても兵士がニコニコしていたのであれば、「タイは安全な国」という説も十分に成り立つが、マヌケな旅行者が兵士が腰にブラ下げているカービン銃を貸してもらおうとして撃ち殺されでもしたら、「社会の公器」は「それは個人の責任で...」で逃げ切るつもりなのか。
とかなんとか言いながら、僕も自宅アパート前の大通りに待機していた若い兵士たちと写真撮影したんですけど、「おにいさんたちはドコの部隊から来たの?」「命令はいつ出たの?」と尋ねても兵士たちはニコニコしているだけで回答してくれなかったということは、やはり相手はトラかライオンか何かの危険生物だと見るのが正解なんじゃないかと思うし、在タイ10年選手の友人新聞記者が装甲車のまわりをグルグル回って写真撮影していたら、しまいには「オマエは何者なんだ!」と凄まれて、血相変えてアタフタと逃げ帰ってきたことには、みんなでハラがよじれるぐらいに笑ってしまった。
そういうカンジで、古今東西よく言われている「クーデターの最も危険な24時間」は一般人の間では無血で終わったけれど、今後も油断を許さない状態は続いています。
もちろん僕も含めて、「植民地化されたことがない」「ロイヤルファミリーがある」を以って、タイと日本の類似性を語っていた人々は多いけれど、今回の一件で決定的な違いを15年ぶりに目の当たりにしたことと思います。