芦田愛菜さんが映画『星の子』の取材で語った信じるという言葉には、相手に自分の理想を押し付けず、知らなかった一面も受け止める、という考えが込められていました。2020年の発言なので、当時の映画と役づくりの話から振り返ります。

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理想の相手を期待してしまう自分にも目を向ける

2020年9月のインタビューで、芦田愛菜さんは、相手を信じているつもりでも、自分が思い描いた姿を期待している場合があると話しました。期待と違う面を見たときに裏切られたと感じても、単に知らなかった一面が見えただけかもしれない、と考えたのです。

そこで相手をすぐに切り離すのでなく、その一面も含めて受け止められる自分でいる。それが信じることにつながる、という話でした。相手の行動を何でも肯定するという説明より、自分の受け止め方を問い直す言葉として読むと伝わってきます。

さらに、人は簡単には揺るがない存在ではないからこそ、信じると口にして、理想の相手や成功した自分を支えにしたくなるのではないかとも語っています。立派な答えを一つ置くのでなく、自分の迷いまで含めて考えていたことが印象に残ります。

映画では両親への愛情と外からの視線の間で揺れる

『星の子』は今村夏子さんの小説を、大森立嗣監督が映画化した作品です。芦田愛菜さんが演じたのは、中学3年生のちひろ。愛情を注いでくれる両親が信じているものと、周囲から見た家族の姿との違いに、戸惑いを覚える少女でした。

両親への気持ちがあるからこそ、周りの言葉にも簡単には答えを出せない。友達と過ごすときには無邪気な顔を見せ、家に戻れば悩みも抱える。その両方を持つ女の子として演じたと、本人は説明しています。映画の設定と、演じた本人の家庭は別の話です。

ちひろの髪を短くしたのも、芦田愛菜さんからの提案でした。原作を読んで浮かんだ人物像に、長い髪の自分がしっくりこなかったそうです。頭の中だけで役を理解しようとするのでなく、見た目から近づく工夫もしていました。

答えを決めすぎず、監督と一緒にちひろを作った

大森立嗣監督からは、役づくりをしすぎずに来てほしいと言われたそうです。細かな演技の形を指示されるより、その場面までに何があったか、どんな気持ちなのかを尋ねられ、自分でも考えながら撮影を進めました。

それだけに、これでよいのかと心配になることもあったといいます。ただ、その迷う時間が、ちひろはどんな子なのかを考える時間にもなりました。監督とやり取りしながら人物を作る過程そのものに、充実感があったそうです。

別の取材では、うまく演じていると思われることより、登場人物を通じて見ている人の心が動いてほしいという思いも語っています。大人びた一言だけでなく、作品の中で一人の少女をどう生きるかにも、真剣に向き合っていました。

信じるについての言葉は、映画から離れて読むだけでも考えさせられます。その一方で、家族を大好きなちひろが迷う物語と合わせると、すぐには割り切れない相手にどう向き合うか、という本人の問いがより身近に感じられます。

友達の前と家族の前で見せる顔が違うのも、ちひろという一人の女の子の姿です。誰かを一つの印象で決めないという言葉には、役を多面的に捉えようとした経験も重なっているように感じます。

作品で語った言葉から芦田愛菜さん自身の歩みへ関心が広がった方は、学生時代やプロフィールもご覧ください。

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