芸人になるにはどうするか。簡単だ。舞台に上がり、ネタを披露すれば晴れて君は芸人だ。お金を払えば出れるライブは幾らでも存在する。つまり、君は明日にでも芸人になれる。例え、明日のライブで1つの笑いも取れなかったとしても、関係ない。事務所フリーの芸人という肩書きは得られる。
では、笑いがとれる芸人になるにはどうするか。こうなると一気に難しくなる。
笑いがとれる芸人になるには、もちろん面白いネタを作ることが一大事だ。だが、その前にもっと大事なことがある。それは、自分が笑われても良い人間であることを示すことである。

意外にも人は簡単には笑わない。何故か、優しいからだ。小さい頃から、他人のことを簡単に笑っちゃダメだよ、と親に教えられて育っているからだ。特に、初対面の相手には誰しもが傷つけないように慎重になる。
しかし、芸人は、初対面の相手を笑わせ続けなければならない。その為にはどうするか。漫才師なら舞台に上がった瞬間、コント師なら電気がついた瞬間に、自分は"笑わせたくて出ています。どうぞ思う存分に笑ってあげてください。"という柔らかくも強い意志のオーラを全身の毛穴から発さなければならないのだ。それは何もパーだとか、変な格好しろとかいうことではない。シリアスな雰囲気から始まるネタであれ出せる人にはたやすく出せる。これが出来るか出来ないかで芸人としての適性は大きく変わる。それが出来なければ例えネタが面白かったとしても笑いが起きにくくなってしまう。そのオーラ放出には自信も大切だ。自信が無いと緊張してしまう。緊張がお客さんに伝わればお客さんは笑わない。何故か、厳しいから…ではない。優しいからだ。緊張して頑張ってる相手を笑っちゃいけない、と長く培った倫理感が働き、笑わなくなる。よってまとめると、舞台に上がる前には"笑ってね、面白いから"の気持ちと体現が必要不可欠なのだ。

今日はここまで。