【鬼無：7】＜脱出ゲーム　香川県からの脱出＞

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鬼無（きなし）

桃太郎の人形の心臓部に、ナンバンギセルを置いてみた。
少し小さかった人形が、人間と同じくらいにまで大きくなり、そして口を開いた。

「おお、太古の眠りから私を目覚めさせたのは、いったい何者だ？」

「おじい様、久しぶり！」

「おじい様って言うな！」

「母親の父親だから、おじい様じゃないか」

「確かにそうだけど、人前でそう呼ぶんじゃない！　私は山へ柴刈りに行くことはない！」

「それはともかく、ここ讃岐の地が今、県強付会という鬼の集団に支配されているのです。
　放っておくと讃岐の鬼たちは、ほかの地域に棲む鬼の仲間と結託し、日本全国で、罪のない民衆の人権を奪って苦しめるはめになってしまいます。
　ですから、鬼退治のスペシャリストであるおじい様に、是非とも協力願いたいのです」

「確かに、鬼退治なら私に任せてもらえれば大丈夫だ！　……と言いたいところだが、お供の犬・猿・雉に与える、きび団子が手元にない」

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