レコード芸術1974年12月号 3 | geezenstacの森

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レコード芸術

1974年12月号

3

 1973年から74年にかけては音楽評論家の自宅を訪ねるシリーズが続いていましたが、10月号からは「みゅーじっく・いん・おーでぃお・さろん」というシリーズに変わっていました。その第3回目には当時は圧倒的人気を誇ったオーディオ評論家の「長岡鉄男」が登場していました。4チャンネルがブームの時には方式が乱立して結局普及はせずに姿を消しましたが、この時はスピーカーマトリックス方式をいち早く提案して、専用のアンプを買わなくても位相差を利用した接続でそれこそ、臨場感ある4チャンネルの再生ができたものです。小生もこの方式で当時は4チャンネル再生を楽しんだものです。
 
オーディオルームにずらりと並んだ自作スピーカー
 
 
 最後に氏のシステムの構成表が載っていますが、市販品でビクターのSX-3が写っています。当時は埼玉県越谷市に鉄筋コンクリートプレハブの一戸建て(8畳2間、6畳4間、1キッチンの8K)に転居仕立てで、まだ代名詞となる「方舟」は存在していません。箱舟が完成するのは1985年になります。若い頃から読書家で2階の書斎は本で溢れています。レコード紹介も外盤を積極的に取り上げそれがマニア心をくすぐりました。ここではそんな氏のオーディオと音楽についての考え方の一端を知ることができます。
 
 
 なぜかこの月、ソニーのクラシックはわずか4ページの広告でした。そのトップはグレン・グールドです。レナート・ローズとのバッハ、そしてベートーヴェンのピアノ協奏曲全集、などを告知しています。全集の形で発売されたのはこの時が最初なんでしょうか。2番だけがモノラル録音といい、指揮者はばらばらといいちょっとまとまりに欠ける全集でした。
 
 
 カザルスにこんな録音があったとはこの広告を見るまで知りませんでした。
 
 
 バーンスタインは「タヒチ島事件」という一幕物のオペラを書いていましたが、バーンスタインの作品の中ではほとんど知られていない作品ではないでしょうか。
 
 
 多分ソニーのクラシックレコードの中で一番売れていたのはこの音のカタログシリーズではないでしょうか。この当時の音のカタログは進化して、100の意のアルバムを紹介するのにカタログは8枚も用意されていました。そして、驚くのは曲のさわりの一部だけでなく、交響曲ならすべての作品の全楽章のさわりを収録さしてました。しかし、これらは郵送のみの販売で、しかも、一枚500円、全部そろえるとそれだけで4.000円と馬鹿になりませんでした。阿漕な商売をしていたものです。
 
 
 ページをめくっていくと、ようやくここで第1特集が始まります。タイトルは「海外の音楽評論ア・ラ・カルト」と物々しいのですが、内容はいたって?マークがつきます。海外の評論の翻訳ものですが、訳者が自己陶酔していて、読者への理解のことはまるで考えていないような訳出で、なおかつAIでもこんな翻訳はしないだろうにというレベルのものです。そんな中からここ手瀬はローリング・ストーン誌に掲載されたグレン・グールドのインタビューを取り上げます。最後まで読んで理解できればお慰みです。
 
 
 
 個人的には最後の広告の誠文堂新光社の「世界の名曲とレコード」という志鳥さんの本の方に興味を持ちました。寡聞にして目にしたことがありません。
 
続く。