レコード芸術1974年2月号 2 | geezenstacの森

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レコード芸術

1974年2月号 2

 

 

 

  この号のグラビアトップは「東京クァルテット」です。デビュー盤が大評判だったようで、1973年9月20-28日の日程で第2弾の録音が行われました。場所はちょっと珍しいベルリンの南西にある「イベロ・アメリカ研究所」のホールです。録音スタッフの名前は書かれていませんが、調べるとプロデューサーはコード・ガルベン、録音エンジニアはカール・アウグスト・ネーグラ―という30歳そこそこの若い録音スタッフで収録されています。1974年は2月にモーツァルトの作品のハイドン・セットからK.465、プロシャ王セットからK.589が録音されています。なをこの録音からワシントンDCのコーコラン博物館所蔵のアマティのセットが貸し出されています。どんな音色が響いているんでしょうねぇ。

 

イベロ・アメリカ研究所」のホール

 

プロデューサーのコード・ガルベン

 

上記のセッションの録音のジャケット

 

下はデビュー盤の記事です。

 

 

 

 ジャズとクラシックの両面で活躍していたアンドレ・プレヴィンはこの当時絶好調でした。この年はプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」全曲をリリースしています。このプレヴィン、当時は妻であった女優のミア・ファーローがナレーションを務めた子供向けのアルバム、同じプロコフィエフの「ピーターとオオカミ」で共演したアルバムも発売されています。

 

収録中の様子

プレヴィン

ミワ・ファーロー

リハーサル・ショット

くつろぎのティータイム

 

 

 

 

 1973年11月に来日していたエディット・ピヒト=アクセンフェルトが来日していました。てっきりエラートのアーティストだと思っていましたがこのころはRCAが発売していたんですなぁ。ちなみにこの来日時、RCAにバッハのパルティータ全曲BWV.825-830をCD4で録音しています。でも、今発売されているCDはそんなことは一言も触れていません。

 

 

 

 

 フルートのセヴィリーノ・ガッゼローニが73年10月に3度目の来日をしていて、こちらもRCAに日本のメロディを集めた一枚と、モーツァルトのフルート協奏曲を録音しています。上の写真はその「日本のメロディ」を収めたもののショットで、琴は野坂恵子が弾いています。フルート協奏曲の方は指揮が山岡重信、カメラータ・アカデミカ東京のサポートですが、ほとんど知られていません。時期的にこちらも多分CD4で録音されていたような気がします。

 

 

 はてさて、こんな指揮者がクラビアを飾っています。ご記憶のある方はどれほどいらっしゃるだろうか?フランソワ・ハイブレヒツ(1946~ベルギー)です。この年に来日して、都響とブルックナーの第4番やフルニエと共演したりもしているのです。まあ、首都圏ならともかく地方では全く名前も聞かなかった指揮者です。調べてみると、第1回カラヤン指揮者コンクールで入賞した後、ジョージ・セルの下で研鑽を深め、ロンドン響やベルリン・フィルなどにも客演した実績が残っています。小生としては、当時の指揮者はかなりのB級指揮者まで網羅していたつもりですが、この名前はまったく記憶にありません。

 

 

 

 面白い記事がありました。ベルリンフィルでヴィオラ奏者を務めていた土屋邦雄紙が音楽之友社に手紙を寄せて上記のような写真を送ってきました。上の写真は第3回カラヤン国際指揮者コンクールで優勝した小泉和裕氏の入賞発表演奏会の一コマで、アンコールで再び登場した時のスナップです。左端にカラヤンの拍手をする姿も映っています。右端はコンマスのシュワルベですね。

 

リハーサル時の小泉氏

 

 

 打楽器奏者の「吉原すみれ」さんです。この73年の11月7日にフィルハーモニーが開催された若杉弘/ベルリン放送管弦楽団との演奏会に登場し、万雷の拍手でアンコールされたということでした。また、先に掲載した東京クァルテットもドイツでは人気ということで、モノクロの写真は土屋氏が送ってきたものだそうです。よほど日本人が活躍しているのが嬉しかったんでしょうなぁ。

 

マリナーとプロデューサーのミッチェル・ブレムナー

 

 もう一つの注目すべき記事がマリナーとAMSFでしょう。「四季」の通奏低音にオルガンを使った斬新な録音で注目されてから快進撃が続いていました。そして、ここでバッハのブランデンブルク協奏曲が登場するわけです。ただ、活躍を支えていたサーストン・ダートがこの全集録音中になくなっています。初版のレコードの解説にはマリナーの「サーストン・ダートへの感謝」という一文が掲載されていました。この録音にはダートは第3番のコンティヌオと第2番と第4番の第1楽章に参加しているだけです。

 

ホームの聖ジョン・スミス・スクェアでの収録風景

 

 

 続きます。