日本フィル・プレイズ・シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー Part 2 | geezenstacの森

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日本フィル・プレイズ・シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー Part 2

感動とサスペンス篇

 

曲目/

1.荒野の7人(エルマー・バーンスタイン)*

2.カサブランカ(マックス・スタイナー)*

3.風と共に去りぬ~タラのテーマ(マックス・スタイナー)

4.栄光への脱出(アーネスト・ゴールド)

5.マイ・フェア・レディ(フレデリック・ロウ)

6.スパルタカス~メイン・タイトル(アレックス・ノース)*

7.パリは燃えているか(モーリス・ジャール)*

8.ミステリー・ゾーン (マリウス・コンスタント) *

9.サイコ ~プレリュード(バーナード・ハーマン)*

パニック映画組曲

10.大地震(ジョン・ウィリアムズ)*

11.タワーリング・インフェルノ(ジョン・ウィリアムズ)

12.ジョーズ(ジョン・ウィリアムズ)*

13.大草原の小さな家(デヴィッド・ローズ)*

14.フォレスト・ガンプ(アラン・シルベストリ)*

15.スターウォーズ~王座の間とエンド・タイトル(ジョン・ウィリアムズ) *

 

*印はオリジナル・スコア

【演奏】

沼尻竜典指揮、日本フィルハーモニー交響楽団

オンドマルトノ、ソロ・ピアノ:ハラダ タカシ(7、14)

アコーディオン:カマタ マサト(7)

ソロ・ヴァイオリン:礒絵里子(4)

 

【録音】

(1~8、12、13)2003年4月2-4日、葛飾シンフォニーヒルズ 大ホール

(9、~11、14)2001年4月16-18日、大田区民ホール アプリコ大ホール

 

キングレコード KICC-415

 

 

 このシリーズは細々と続いており、現在までにオリジナルは11作を数えています。このシリーズの素晴らしいところは指揮者陣としては日本を代表するこの第2集を振っている沼尻竜典をはじめ、竹本泰蔵、田中祐子などが登場していることでしょう。さらには業界初となるオリジナルスコアによる録音ということで、魅力満載の仕上がりになっている点です。

 海外ではこういったものは古くはイギリスはデッカのスタンリー・ブラック/ロンドンフゥスティヴァル管弦楽団やCD時代になってSilva Screen」などのレーベルでチェコのプラハ市交響楽団などを使っての演奏が広く流通していましたが、国内でこういうシリーズが進んでいたとは驚きです。表立つて謳ってはいませんが、オーディオファイル的にも素晴らしい音質で収録されています。キングは昔からサントラものには強くレコード時代には20世紀フォックスやユナイトレコードなどをライセンスしていましたから、そういう下地はあったのでしょう。
 このアルバム、基本的に完全コピーを目指したものではないようです。オリジナルスコアを使いながらも取捨選択をしているようで、トップの「荒野の七人」にしてもオリジナルのサントラは5分30秒ほどかかるのですが、ここでの演奏は4分45秒しかありませんし、モーリス・ジャールの「パリは燃えているか?」では一般に知られているのは序曲ではなく「パリ・ワルツ」という曲でここで演奏されているのもそちらの方です。そして、モーリス・ジャールは打楽器科出身の作曲家ということで、打楽器の使い方に特色があるのですが、あまり打楽器が活躍していないのは残念なところです。
 このCDでもほとんどがオリジナルスコアでの演奏となっています。ただ、小生は結構オリジナルスコアに拘泥わる方なのでこういう演奏は大歓迎なのですが、世間的にはオリジルサントラの演奏があればそれで十分だと思って位しまうのではないでしょうか。ただ、オリジナルサウンドは得てしてしょぼいものが多くあり、この曲目のうち「タワーリング・インフェルノ」なんかは確かにジョン・ウィリアムズの作曲になるものですが、サントラはオーケストラの編成が小さなもので、ここで聴くような迫力のあるサウンドにはなっていません。この映画は公開当時は70ミリの大作だったのですが、サントラのオーケストラの響きが安っぽくでがっかりしたものです。

 

 ただ、このCDに収録されている演奏はほぼオリジナルスコアに近いものですが組曲としての捉え方のため全曲演奏されていないのが残念です。この作品についてはスタンリー・ブラックも録音していませんし、こういうスペクタクルな演奏がないので残念なところです。

 

 

 このアルバムで一番気に入っているのは「大地震」のテーマです。こんな曲です。

 

 

 最初に小鳥の囀りと共に地震の音が収録されているのですが、YouTubeの再生ではショボい音にしか聞こえません。実際はレコードの溝は無茶苦茶うねりを持ってカッティングされていて、昔、我が家でこのレコードをちょいと大音量で再生したところ家人が本当の地震と勘違いして大騒ぎをした記憶があります。このCDではその小鳥の囀りと地震の音は収録されていません。ただ、サウンドはこれもショボいサントラよりは数段優れた音で収録されています。

 

 

 この作品、サブタイトルが「感動とサスペンス篇」となっていますが、ちょいと企画倒れ的な選曲が残念なところです。そんなことで、いろいろな形でオムニバスアルバムも作成されていますが、どれも帯に短し襷に長しという感じですかねぇ。