知覚とは、感覚器官によってもたらされた情報をもとにして、外界の状況や身体内部の状態に意味付けする働きのことをいう。

知覚のうち、視覚からの情報が80%を占めている。

知覚の体制化とは、無秩序に存在しているものを関連づけて、一つのまとまりのあるものへと作り上げる働きのことをいう。

体制下の働きとして、近い距離にあるもの同士が一つに見える「近接の要因」、一定間隔の距離の者がまとまって見える「類似の要因」、閉鎖した領域を創ることによってまとまる「併合の要因」等がある。だまし絵として有名な「ルビンの盃」は、人が視野内の対象を図と地に区別して認識する傾向があることを指す。(図と地の分化)。

選択的注意は、多くの刺激の中から、選んで特定の刺激に注意を向ける働きのことである。選択的注意の例であるカクテルパーティー効果は、立食形式のパーティーで沢山の人が雑談する騒がしい環境において、自分の名前が聞こえた瞬間その会話の内容が入ってくる脳の働きをいう。

知覚の恒常性は、物理的な刺激の変化があるにも関わらず、その対象が一定のものとして知覚される働きのことである。対象の移動や照明の変化によって感覚器に到達する刺激の大きさや強度が変化しても、同じ対象は同じように知覚されて一貫性を保つ性質をいう。近くにいた人が遠ざかっても、その人が小さくなったとは知覚されない等である。

錯視とは、視覚における近くのずれによって、同じものが違って見える働きのことをいう。地平線に近い月が高く上った月より大きく見える月の錯視、横縞で等分割された正方形はやや縦に長い長方形に見え、縦縞で等分割された正方形はやや横に長い長方形に見えるヘルムホルツの正方形等がある。

仮現運動は、運動錯視の一つで、連続的に静止画を見ることによって、動いているように見える働きをいう。パラパラ漫画等がその例である。

順応とは、同じ刺激が続くと、次第に慣れてくる働きのことである。暗い部屋で徐々に暗さに慣れてくる暗順応、暗闇から明るい場所に出たときに徐々に明るさに慣れてくる明順応がある。馴化も順応に近い概念である。

社会的知覚とは、社会的な要因によって同じものでも違って知覚される働きのことである。硬貨と同じような形状、重量の円板がその例である。