精神保健福祉法における入院制度
任意入院とは、本人の同意に基づくに入院形態である。任意入院者が退院を申し出た場合は退院させなければならないが、精神保健指定医による診察の結果、医療及び保護のために入院継続の必要性が認められた場合、72時間(特定医師は12時間)に限り、退院制限を行うことが出来る。
退院請求に関する審査は、精神医療審査会が行う。精神医療審査会は、都道府県・指定都市に設置され、退院請求・処遇改善請求に関する審査、医療保護入院の届出審査、措置入院・医療保護入院の提起病状報告の審査を行う。
措置入院は、二人以上の精神保健指定医が精神障害により自傷他害の恐れがあると認めた場合に、都道府県知事(指定都市市長)の命令により行われる入院である。
措置入院では、国等の設置した精神科病院または指定病院に入院する。
2022年改正により、都道府県知事が措置入院を行う場合は、患者だけでなく、家族へ告知をすることも義務付けられた。
措置の解除も、都道府県知事が行う。都道府県知事は、あらかじめ、措置入院者が入院している精神科病院の管理者の意見を聞いたうえで、措置入院の解除を行う。
緊急措置入院は、急速を要し、通常の措置入院の手続きができないときに、72時間に限り一名の精神保健指定医の判定で入院させることができる。
医療保護入院は、精神保健指定医の診察の結果、精神障害があり、入院の必要があるが任意入院が出来ない者、または都道府県知事による精神保健指定医の診察に基づき医療保護入院のために移送されたもので、家族等のうちいずれかの者の同意があるときに行われる入院である。家族等とは、配偶者、親権を行う者、扶養義務者、後見人、保佐人のことである。
2024年法改正により、医療保護入院では、家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合に、市町村長の同意により入院を開始することができるようになった。
精神科病院の管理者は、医療や保護に欠くことのできない限度で患者の行動に必要な制限を行うことはできるが、信書の発受の制限、行政機関の職員との面会は制限することができない。