やつてみたい、頑張りたいという気持ちは、自己実現の欲求です。自己実現の欲求は、心理学者マズローによる ”欲求の五段階説” の、最終段階です。

 

つまり下から、生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、所属と愛の欲求、承認欲求という、4つの欲求の上にあるとされているものです。

 

これら土台となる4つの欲求が満たされていない場合には、そもそも頑張る以前の問題があるというわけです。

 

”一生懸命努力して頑張れば、かならずできる” という言葉に、多くの人たちは苦しめられてきました。

しかしいくら励まされても、頑張っても、できない人というのは確実にいます。

 

そしていくら頑張ってもできないと、結果を残せないので、頑張っていないと誤解されてしまうのです。

 

概してどういった人たちが頑張れないのかというと、認知機能の弱さを持った人たちです。

見る、聞く、想像するといった力が弱いため、

・自分の姿を適切に評価できず

・先を見通す力が弱く

・現実的な目標が立てられず

・途中で挫折してしまう

ということを繰り返すうちに、自信を失い、もう頑張れなくなってしまうのです。

 

頑張れない理由として、最初に述べた、欲求段階の問題もあります。自己実現の欲求は、マズローが提唱した欲求の五段階の、最終段階です。

 

食べ物、睡眠などへの欲求、安全が保証される欲求、人間関係における信頼と愛情への欲求、他者から認められたい欲求、これらの欲求が満たされなければ、頑張ろうという気持ちは湧いてくるはずがありません。

 

もし、ある人が養育者から、虐待など不適切な養育を受けていたならば、4つの欲求がどこかで、もしくは複数で満たされていない可能性があります。

 

頑張れない人たちは、自分の力のなさに気づいています。そんなときに周囲から、

”そんなことあまり気にするな”

”あなたには得意なこともある”

”もっと自分に自信を持って”

というような声かけは、逆に本人を追い詰め、あるいはやる気を奪っている可能性すらあります。

 

そんな人たちは、出来ない自分に、時間をかけて少しずつ、折り合いをつけながら、事実を受け止めていく過程を通して、本来の自分の在り方を見つけていくことになるでしょう。

 

そして人との関わりの中で、信用できる人、寄り添ってくれる人の存在を得たり、大切な役割を任されたりすることで、新しい自分に変わりたい、チャレンジしたいと望むようになるのです。