推論や問題解決の際に、直感的に考えてしまい、合理性に欠ける判断をしてしまう傾向を、認知のバイアスといいます。

 

これには、可能な限り効率的にものごとを処理したい、可能な限り不快な状態になりたくないといった動機づけが働いているものと考えられます。

 

動機づけは、感情とは異なりますが、感情が、ある行動の動機づけになることはあります。

 

認知のバイアスとして知られる代表的なものとしては、

 

・よく見聞きするものや、最近見聞きしたものに基づいて判断しようとする”利用可能性ヒューリスティック“  

 

・典型的な例を基準にして考えてしまう”代表性ヒューリスティック“ 

 

・先に提示された情報が基準となり、その基準に近いような判断をしてしまう”係累と調整のヒューリスティック”

 

※ヒューリスティックとは、過去の経験から得られた経験則で、容易に目標を達成しようとする問題解決法です。

 

・自分の考えに合致する情報ばかりを集めてしまう”確証バイアス”

 

・結果を知ったあと、それが起こることを予測していたとする”後知恵バイアス” 

 

・自分に都合の悪い情報の重要性を過小評価してしまう”正常性バイアス” 

 

・自分の考えが、相手に正確に伝わっていると実際以上に考えてしまう”透明性の錯覚”

等があります。

 

このような認知のバイアスのなかでも、特に自己と他者という人間関係のなかで起こるものを、社会的な認知のバイアスと呼ぶこともあります。

 

社会的な認知とは、例えば性格や見た目から、その他者の印象をつくることや、

ある人物や集団にステレオタイプの印象をもつこと、

接触する機会が多いほど親しくなりやすいこと、等のことです。

 

第一印象やステレオタイプ化された考えは改めにくく、差別や偏見につながることもあります。

 

直感的な思考であっても、実際に日常生活で大きく困ることはない、ということも、このような捉え方をしてしまう原因かもしれません。