セツルメント運動とは、知識や財産を持つものがスラム街に入り込み、社会的に弱い立場にある人たちと生活を共にしながら、社会福祉の向上を図ろうとする事業です。


イギリスのトインビーホールで実施されたクラブ活動や、米国シカゴのハルハウスによる民主主義を尊重したグループ活動は、やがて後のグループワークへと発展していくことになります。


グループワークの源流となったグループ活動には、ほかにもイギリスで設立されたキリスト教青年会(YMCA)、キリスト教女子青年会(YWCA)や、ボーイスカウト、ガールスカウトがあります。


グループワークは、そこに参加する人たちが主体となる活動であり、民主主義、民主的過程の経験、学習の場としても活用されました。


1923年、米国オハイオ州のウエスタン・リザーブ大学大学院で、グループワークの教育が開始されました。学生たちはセツルメント等に配置され、実習を経験しながら、子どもの心理や遊びに関する理論を学びました。


1930年代からは、児童相談の分野でグループワークが用いられており、子どもたちは、グループ経験を通じて学ぶことができました。


軍隊では、集団心理療法を用いるグループワーカーが活躍し、退役軍人病院では、社会復帰へ向けた取り組みに、グループワークが不可欠であったといいます。


第二次世界大戦中、戦地での兵士たちにとって、グループで行なうレクリエーションやグループワークは、戦場での良い気分転換や癒しとなりました。


1946年、アメリカグループワーク研究協会が、アメリカグループワーカー協会として改組され、グループワーカーの専門職団体となりました。


これを契機として、グループワークに関する論文や教科書が発表され、社会的な目標に向かうグループワークが、確立していくことになったのです。