生きている中で、普通に生じる問題である精神的不健康と、精神障害を区別することは、簡単ではありません。


精神障害のうち、一定のパターンに従った特徴や、経過等を判別できるものは、医学の視点からは精神疾患として扱われます。


精神疾患によって生じる、日常生活や社会生活における制約は、障害として福祉的支援の対象になります。


人は病気にかかったとき、健康時にはみられない、苦痛となる主観的な訴えが現れます。

そのような訴えを、症状あるいは自覚症状といいます。

  

主観症状は、当事者が直接体験し、本人の言葉などを通して知ることができます。

客観症状は、他者が直接知覚できるものです。


これらの症状が持つ意味を検討する上で、当事者に意識障害があるかどうかは重要です。


正常な意識状態とは、注意、理解、見当識、記憶などの精神活動がよく保たれた状態のことです。


意識の覚醒機能が低下した状態を意識混濁といい、軽度の場合、注意散漫、集中不能、記銘障害、反応の鈍さなどがあります。


特異な病的体験や、異常行動がみられる状態を、意識狭窄、意識変容といい、軽度の意識混濁が背景にあることが多いとされます。


見当識障害は、現在の自分の位置づけ、自分の置かれている時間、空間状況、自分とかかわりのある人物などを正しく認識できていない状態をいいます。


意識障害があれば、見当識障害は必ず伴います。