2006年、国連総会で障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)が採択され、2008年に批准国が20か国に達したのを受けて発効されました。
この条約は、新しい人権を創設するものではなく、既存の人権を障害者に等しく保障することにより、障害者を保護の対象でなく、人権の主体であるとするものです。
日本政府は、2007年に障害者権利条約に署名し、2014年に批准しました。
障害者権利条約の作成過程で、障害者当事者団体は
”Nothing about us without us”
(私たちのことを私たち抜きで決めないで)と主張しました。
日本においては、2009年、内閣総理大臣を本部長とする障がい者制度改革推進本部が設置され、そのもとに障害当事者や家族が委員の過半数を占める、障がい者制度改革推進会議が設置されました。
その後障害者基本法改正(2011年)、障害者総合支援法の成立(2012年)、障害者差別解消法の成立と障害者雇用促進法の改正(2013年)を経て、
2014年、障害者権利条約の批准に到ったのです。
障害者権利条約では、第三条で八つの原則を定めていますが、そのうち最も重要な原則は、尊厳です。
尊厳は、全ての人間が有するかけがえのない価値を意味し、この価値は無条件に承認されるものであるということです。
つまり尊厳は、優生思想と対極にあるものなのです。