ソーシャルダーウィニズム(社会的進化論)は、ダーウィンの進化論を適用して社会の変化を捉える考え方です。
これを曲解した、”優良な人間の遺伝子同士を掛け合わせて、人類や社会の進歩を促そうとする思想”が”優生思想”です。
命に優劣を付け選別する優生思想は、20世紀初頭に欧米諸国で盛んになりました。
1907年、アメリカのインディアナ州で世界初の優生思想による”断種法”が制定され、精神病者や反社会的行動を行った者に対する不妊手術が実施されました。
断種法は、1929年にデンマークで、1934年にはスウェーデンで制定され、障害者の不妊手術が正当化されました。
ドイツでは、1939年のT4計画により、優生学に基づいて医師により、”生きるに値しない命”と判定された障害者7万人以上が、ガス室等で殺害されたといいます。
日本でも1940年に制定された国民優生法、1948年に制定された優生保護法、いずれも優生思想に基づく断種を認めています。
1996年、優生思想にかかわる規定は廃止され、母体保護法に改正されましたが、それまでの間、旧優生保護法に基づいて、約1万6000人の障害者が強制的に不妊手術を受けさせられたということです。