1970年代まで、日本の行政用語には”精神障害者”という用語はなく、医療の対象としての”精神病者”だけがありました。
1980年に、WHOが国際障害分類ICIDHを提唱したことによって、ようやく日本においても、疾病と障害が共存する存在としての”精神障害者”が認められるようになりました。
1995年、精神保健福祉法が成立し、精神障害者の自立と社会参加のための援助という、福祉的要素が明確化され、
同年成立した障害者基本法が、精神障害者を身体障害者や知的障害者と同様に、福祉的な施策の対象として位置づけました。
そして、2004年の精神保健福祉施策の改革ビジョンには、入院医療中心から地域生活中心への転換が明記されたのです。
日本の精神病床数は約35万床、精神病床入院患者数は約32万人といいます。
人口当たりの精神病床数は、諸外国で減少しているのに対し、日本ではここ数十年横ばい状態、かつ諸外国を大幅に上回っているということです。
入院による医学的な治療が必要な状態でないにもかかわらず、"社会的な理由”で入院している患者を、社会的入院者といいます。
”社会的な理由”には、住居や仕事、支援等の社会資源の不足があります。
精神科病院に一年以上入院を続ける患者数は約16万人、そのうちの5人にひとりが社会的入院者といわれています。
30〜40年以上に渡って社会的入院をしている患者も珍しくないのだそうです。
一人ひとりの人生の回復が求められています。