脳内には報酬系という、元気ややる気といったポジティブな感情を起こさせる回路があります。

 

これは、種の保存のための行動を継続する神経系でもあるのですが、アルコールや薬物、ギャンブル等も、脳の同じ回路を刺激してしまうのだそうです。

 

報酬系と呼ばれる自己刺激行動の回路は、1953年に発見されました。

 

中脳にある腹側被蓋野に電極を刺したラットに、電気刺激を与えると、これを好んだラットは自らレバーを押して自己刺激を行うようになりました。しかしこれが、寝食や性欲といった本能的な行動を上回って行うようになったのです。

 

腹側被蓋野にある神経細胞は、中脳の側坐核の軸索へと伸び、ドーパミンを放出しています。

ドーパミンは快感に関わる神経伝達物質です。

 

ドーパミンの分泌は、日常生活における仕事や勉強、運動など、すべての活動を支える

”意欲”を調節するという、非常に重要な役割を担っています。

 

放出されたドーパミン分子は、通常、一部が受け手側のニューロンの受容体に結合しますが、利用されなかったものは送り手側ニューロンに回収され、再利用されます。

 

依存性の高い薬物であるコカインを使用した時には、どうなるのでしょうか?

ドーパミンは通常通り放出され、受け手側ニューロンの受容体に結合しますが、利用されなかったドーパミンを回収するポンプが、コカインによって塞がれてしまいます。

 

そのためドーパミンは通常よりも高い濃度で蓄積していくことになり、受け手側ニューロンに対する作用が強まるということです。

 

ドーパミンの作用が、快楽を求め続けて依存症になってしまうことに繋がる場合もあるのですね。