Sさんは、私のバイト先の高齢者施設に通われている中では、若手の女性です。

 

施設では、お風呂のほかは、ほとんどの方が席に着いて一日を過ごすなか、Sさんは非常にアクティブです。

 

認知症が進んでいるので、学校に来ている感覚なのだと思うのですが、

 

”先生、今日は何曜日”

”先生、私の席はどこ”

”先生、今日なにするの”

 

私、先生と呼ばれたのは生まれて初めてなのでちょっと嬉しい(?)

 

Sさんはまだ60代なので、体力があります。

そして帰宅願望が強く、立ち上がって本当に出ていこうとする。

 

”先生、私、もう帰ります”

 

その度に、職員がなだめて落ち着いてもらうのですが、一度ものすごく早く走っていってしまい、誰も追いつけなくて、

「ガーン!」

と思い切りガラス扉にぶつかってしまったことがあります。

 

もちろん看護師がとんで行って、けががないか確認したり、血圧を測ったり。大事にならずに済みました。良かったです。

 

朝は時間差で来所する方や、お昼の食事を配達するお弁当屋さんのために、入り口の開閉が頻繁なので、Sさんには職員がひとり付いていることになりました。

 

アクティブなSさんですが、茶目っ気もたっぷりなんです。

 

”先生、○○〇(お手洗いでする大きい方)してもいい?”

”あ、お手洗いですね、あちらです。ご一緒しましょう”

 

小さな子どものような言い方に、思わずこっそり笑ってしまったら、Sさんに気付かれてしまいました。

 

”○○〇”

 

Sさん、私を振り向いてもう一度言います。

 

”はい、参りましょう”

私、顔が笑ってしまいます。

 

”○○〇”

 

 

Sさん、やめないか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひろーーい田んぼの中を走った

夢みたいにいい気分だった

 

 

 

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