高齢者施設に来所されるUさんは、とても大きい。

背の高い高齢者は、結構いらっしゃるのですが、

だいたい皆さん、ひょろひょろっとしている。

つまり細身です。

 

Uさんは、一言でいうと、デカい。

ジャイアントなんです。

少し背中が丸くなっていますが、ご高齢のせいというよりは、

あまりにデカい人生なので、頭をぶつけないために、常に腰を屈めているからかも??

 

身体の大きなUさんは、声も大きいです。

特に職員に用があるときは、めちゃくちゃ大きい声で話しかけます。

Uさんは自立度が高いので、余計な手出しを嫌います。

カバンなど持とうとすれば

”どいて!”

 

最近、暖かくなってきたので、上着なしで来所する方も増えましたが、

Uさんはまだ、薄手の上着を着ています。

”お預かりしましょうか”

 

”いいから”

”僕は自分で全部できるから”

大きな声で宣言しつつ、ご自分でハンガーに上着とカバンをかけて

”これ、僕の。ここに掛けておくから”

ハンガー掛けの一番端に掛けて、悠々と席へ。

 

職員が後から名札を付けて、所定の位置にかけ替えるのですけどね。

 

施設では、午前中、希望者の入浴があります。

自立度の高い方、歩行介助の方、車椅子の方。

また、投薬の時間の関係等々、

効率よくお手伝いできるように、順番を考えながらお声掛けしていると

 

”お風呂、早くしてね”

”なんでかっていうと、僕は全部自分でやるから”

”手伝いの人いらないんだからね”

 

Uさん直々に、そうリクエストがあったので、

一番最初のグループに呼んで差し上げました。

 

そして他の方々のお世話から初めていると

”誰か来て!”

Uさんの特大の声が。

 

”はい、少々お待ちくださいね”

あとふたりの方の、洗体やらシャンプーやらをこなしつつ

声掛けをします。

 

”誰か来てよ!”

”目にせっけんが入っちゃうよ!”

”誰か来てー!”

 

あわててUさんのお世話に行きます。

Uさん、シャワーを全開で垂直にブッシャー!!

ずぶぬれになりながら

”お流しします”

シャワーを受け取ろうとすると

 

”どいて!”

 

 

自分で解決できたようです。

 

 

 

 

 

 

 

いつか、何にもない場所を走る

ローカル線に乗りたいな