Kさんは、車椅子で来所しています。

施設の送迎車は、車椅子ごと乗車できるので、ドアからドアまで車椅子です。

 

フロアでは、杖で歩行できる人は椅子に乗り換えますが、

Kさんはだいたい、帰るまで車椅子に乗ったままで過ごします。

 

ただ、自分で動かしてはいけない決まりがあるので、

お手洗いの時などは、手を挙げて職員に付き添ってもらわなくてはいけない。

 

ある時、カラオケ大会がありました。

イベントは何種類かを、定期的に開催していて、参加は自由ですが、

カラオケ好きなKさんは、毎回エントリーします。

 

皆さん自分の歌がいくつか決まっていて、

それを個人個人表にしてあるので、

何を歌うかいちいち考えなくても、表をみながら順番に

リクエストしていけばいいというわけ。

 

ですが、認知症の方がおおい施設ですから、

さっき自分が何を歌ったか、忘れてしまうことはしばしば。

 

何を何回歌っても、一向にかまわないのだけれど、

できればレパートリーの中から、できるだけいろんな歌を歌わせてあげたい。

 

Kさんの十八番は「北国の春」で、リクエストを取りに行くたびに、

”じゃあ、「北国の春」”

”Kさん、今度はKさんの各個「〇〇」が聞きたいんですよ~”

”そう?じゃあ、「〇〇」にしようか”

 

”「北国の春」は、歌った?”

”はい、さっき歌いましたから、「△△」はどうですか?”

”そうね、じゃあ「△△」にしよう”

 

カラオケ大会はいよいよ最後の一巡ということになり、

”さて、今日のラスト一曲、何を歌いますか?”

”ラスト一曲?じゃあ、「北国の春」がいいかな”

十八番の「北国の春」をアンコールで歌ってもらうことにしました。

 

そしてイントロが流れると、Kさんが挙手している。

”どうしましたか?”

 

”お手洗いに行きたくなっちゃった”

 

 

十八番のは、次回までお預けになりました。

 

 

 

 

3年前の旅行で缶が気に入って買った飴

ついに開封してみた

普通においしかった